進化するうどん

2023年8月10日付 802号

 

 うどん県に暮らす天地子に、秋田県の稲庭うどんがお中元で送られてきた。乾麺をゆでて食べると、コシもほどほどありのど越しがいい。8月3日は恒例の聖徳太子富士登山。高齢になっても登れるように、日ごろから農作業で鍛えている。
富士吉田市に来て必ず食べるのが吉田うどん。同市はかつて富士山の湧水を使って染めた縦糸を使う織物が盛んで、機織りで忙しい女性に代わって男性が食事を用意することから、力を込めて打つうどんが広まったという。コシのある太めの面は噛み応えがある。織物はすたれたが、うどんは健在だ。
うどんの始まりは五島列島という本を読んで、数年前、上五島に行った。椿油をコーティングしながら伸ばすうどんは、感じとしては太めの冷や麦。トビウオを使ったあごだしがいい味だった。ちなみに、さぬきではうどんは唐から帰った空海が始めたというのが定説で、善通寺ではうどん供養が行われている。
 天地子はうどん用の小麦さぬきの夢2009を栽培している。県内でも90%以上を占めているオーストラリア産小麦に対抗し、昔ながらの風味があり、コシの出る小麦として県農事試験場と香川大学が共同開発した新品種の二代目だが、うどん職人の評価はもう一つで、打ちにくいという。県では三代目を3年後から投入予定。
舌の肥えた県民に鍛えられ、うどんも日々進化している。コシはあってもやわらかいさぬきうどんもあり、コシまでやわらかいのが伊勢うどん。いろいろあって、どれもおいしい。