展覧会「明治天皇と乃木大将~大御心をいただきて~」

乃木神社鎮座百年祭記念/明治神宮ミュージアム

陸軍御軍服:明治天皇御料 明治38年 明治神宮蔵

 7月15日から9月24日まで東京都渋谷区の明治神宮ミュージアム(明治神宮境内)で乃木神社鎮座百年祭記念「明治天皇と乃木大将~大御心をいただきて~」展覧会が明治神宮と乃木神社の共催で開催されている。
 明治天皇の大御心は、数々の戦いが行われた明治時代にあっても一貫して国民の平和と安寧であった。乃木希典大将はその大御心を体現すべく、西南戦争から日露戦争まで至誠をつくし、国民を守った。乃木大将は軍人してのみならず、学習院院長として、教育の面でも力を発揮し、後の昭和天皇の御教育にも携わった。また、文人としても才能を発揮し、漢詩、和歌なども残している。
 同展覧会は、明治時宮とゆかりがある乃木神社が今年で鎮座百年を迎えるにあたり、これを記念して行われるもの。宝物展示室での展示に加え、企画展示室を〈西南役と乃木大将〉〈日露戦争と乃木大将〉〈文人としての乃木大将〉と3つのテーマに分けて明治天皇と乃木大将ゆかりの品が展示され、二人の君臣のうるわしき間柄を偲ぶことができる。
 宝物展示室では明治天皇がお召しになられた「陸軍御軍服」(明治天皇御料 明治38年 明治神宮)が展示されている。日露戦争時、軍服が黒の為、敵からよく見え、狙い撃ちされたことから、時の司令官大山巌が軍服をカーキ色へ変更した。各地で行われた演習の際に着用されている。「恩賜金時計」(明治39年頃 乃木神社)は日露戦争凱旋後、乃木大将に明治天皇が下賜されたもの。十八金側両蓋付に菊の紋章があり、十八金と白金の鎖に勾玉が付属している。
 企画展示室に入ると「明治天皇御製 田原坂」(明治35年 乃木神社)を見ることができる。明治35年秋、熊本における特別大演習に行幸された明治天皇は、田原坂を通り過ぎる際に戦いを偲び詠まれ、藤波言忠が筆記し、乃木大将に贈られた。乃木が当時を回想し、和歌を詠進したところ、天皇から批評を賜るという君臣の交わりがあったという。「水師営の会見写真」(明治37年 乃木神社)は乃木大将とステッセル将軍の会見の際に撮影された写真で、敗者にも名誉の為に帯剣を許した乃木の姿は世界中に称賛された。「乃木夫妻 辞世の和歌」は乃木大将及び静子夫人が殉死の一か月前にはすでに詠まれ、歌人の井上通泰に見せていたもので、すでに殉死の決心をしていたことがうかがわれる。「乃木希典書 皇師百万」(明治38年 乃木神社)は、明治38年秋、乃木大将が日露両国の講話条約成立を聞き、凱旋帰国の思いを詠ったもの。戦闘で多くの部下、将兵を失ったことの心痛、断腸の思い、自責の念が込められている。

会場:明治神宮ミュージアム(明治神宮境内)
会期:令和5年7月15日(土)から9月24日(日)まで(休館日:木曜日、但し9月14日〔木〕は開館)
開館時間:午前10時~午後4時30分(入館は閉館30分前まで)
公式サイト: https://meijijingu.or.jp/
問い合わせ: 03-3379-5875

明治天皇御製 田原坂:明治35年 乃木神社蔵
乃木夫妻 辞世の和歌:明治45年 乃木神社蔵
乃木希典書 皇師百万:明治38年 乃木神社蔵