美術・受け継がれし明治のドレス

-昭憲皇太后百十年祭・霞会館創立百五十周年記念-/明治神宮ミュージアム

 令和6年は昭憲皇太后百十年の式年にあたり、これを記念し、明治神宮・霞会館の共催で「受け継がれし明治のドレス」をテーマとした記念展が開催されている。同展は前期展「昭憲皇太后の大礼服」(4月6日㊏から5月6日㊊まで)後期展「明治天皇と華族会館」(5月25日㊏から6月30日㊐)に分かれて行われる。

 4月11日の昭憲皇太后祭を含む前期では、常設展に加えて、明治神宮より昭憲皇太后の御召物を中心とした展示が実施されている。I.昭憲皇太后の御親筆、II.昭憲皇太后の御召物~宮中装束の温故知新~、III.大礼服修復プロジェクトと染織技術-で構成され、中でも注目すべきは、『御大礼服』(明治20年代前半、大聖寺蔵)で、企画展示室の中央に展示されている。『御大礼服』は平成30年(2018)に、経年劣化が激しいことから調査と修復を目的として行われた「昭憲皇太后大礼服研究修復復元プロジェクト」により約5年の歳月をかけて修復されたもの。大礼服は、宮中で最も格が高い女子の礼服で、主に新年の拝賀式で着用された。明治42年(1909)に昭憲皇太后から尼門跡寺院の大聖寺(京都)に下賜されている。『御中礼服』(明治27年 宮内庁蔵)は昭憲皇太后が明治27年(1894)に行われた大婚二十五年式典の際にお召しになった中礼服で、銀婚式に因んで白地に銀色の糸やスパンコールを用いた厳かな色調になっている。他にも重要な儀式で、宮中に洋装が導入される以前に昭憲皇太后がお召しになられていた装束も展示され、『御五ツ衣・御唐衣・御裳(夏の御料)』(十二単、江戸末期、明治神宮蔵)、『御五ツ衣・御唐衣・御裳(冬の御料)』(十二単、江戸末期、明治神宮蔵)などが紹介されている。

 6月1日の霞会館創立百五十周年記念日を含む後期では、霞会館による展示企画が行われる。霞会館の前身は明治天皇の御意向を受けて発足した華族会館。同展では明治天皇からの拝領品や華族会館行幸の際の御下賜品、旧宮家の北白川家から寄贈されたドレスなどが出品され、『ローブ・デコルテ』 (北白川宮妃房子着用、霞会館蔵)、『ローブ・モンダント』(霞会館蔵)などが展示される予定である。

会場:明治神宮ミュージアム

会期:前期展示4月6日㊏から5月6日㊊ 後期展示5月25日㊏から6月30日㊐

   休館日は木曜日(4月11日㊍、5月2日㊍は開館)

開館時間:午前10時から午後4時30分前(入場は30分前まで)

お問い合わせ:03-3379-5875

御大礼服 明治20年代前半 大聖寺蔵(前期展示)
御五ツ衣・御唐衣・御裳(夏の御料)(十二単)、江戸末期、明治神宮蔵(前期展示)