暁の祭典・浜降祭/茅ヶ崎海岸

4年ぶり盛大に祝う

玉串を奉って拝礼する利根康教・寒川神社宮司

 暁の祭典・浜降祭(主催、茅ヶ崎海岸浜降祭実行委員会)が海の日の7月17日、4年ぶりに盛大に斎行された。神奈川・茅ヶ崎の南湖の浜(西浜海岸)で利根康教・寒川神社宮司を斎主に寒川町、茅ヶ崎市に鎮座する34社から子供神輿を含む39基の神輿が出御、氏子崇敬者、見物客が集まった海辺の祭場は熱気に包まれた。浜降は海辺での禊を意味し、海水の霊力で心身を清め、新たな御神威を授かる。
 男衆に担がれた神輿は「どっこい、どっこい」と勇ましい掛け声と共に竹の鳥居をくぐり抜け南湖の浜、祭場に幟と共に着御し、6時30分に39基が揃い踏み。一列に整列した。
 7時、斎主・祭員が入場し、修祓、祓い詞奏上ののち祭員が神輿、氏子を大麻で祓い清める。献饌に移り、全ての神輿に御神酒、海・山の幸が供えられ、斎主が祝詞を奏上。玉串奉奠では、斎主に続いて寒川神社第10代御旅所神主・鈴木孫七氏、同社責任役員、茅ヶ崎海岸浜降祭実行委員会役員、各神社代表、佐藤光茅ヶ崎市長、木村俊雄寒川町長、河野太郎デジタル大臣、星野剛士、阿部知子衆議院議員らが拝礼した。
 祭典ののち利根宮司は「待ちに待った浜降祭を晴天の中執り行うことができた。多くの方々にお集まりいただき有難く、喜ばしい。皆様が家内安全、健康にすごされますよう心より祈る」と感謝の気持ちを述べ、亀井信幸・実行委員長は「浜降祭を無事に迎えられたのも、各神社の篤い信仰心、祭りへの深い郷土愛、そして情熱のたまものである。祭典が未来永劫、湘南の信仰遺産として、私たちの心の拠り所として受け継がれていくことを祈念する」と話した。

海中に入り「みそぎ」を行う神輿

 祭典が終わると39基の神輿は再び激しく練り歩き、波が穏やかな海に神輿が入る「みそぎ」を行った。見物客が見守る中、「どっこい、どっこい」と波しぶきを浴びながら神輿は海の中へ進み、浜に上がると、各神社へ還幸した。
 初めて参加し神輿を担いだフランス人の男性は「一つになる雰囲気がとても楽しい。道にごみ一つ落ちていないのが日本の素晴らしさだと思う」と話し、ノルウェーから来た女性は「格好いいし、神輿を担ぐ人たちのパワーを感じる。次は夜中に神輿が来るところを見たい」と楽しそうに語った。
 浜降祭の起源は天保9年(1838)。國府祭に出た寒川神社の神輿が帰路、馬入の渡し場(現平塚市)で地元氏子との争いに巻き込まれ、大雨で増水した相模川に転落、相模湾に流された。数日後、南湖の浜で海に沈んだ神輿が発見され、3日後、同社に戻された。この功により同社の禊場が南湖の浜に移され、同地に同社の神輿が渡御するようになった。神輿を発見した網元の鈴木孫七の家は代々御旅所神主を務め、現在は10代目になる。