宗教サミット36周年「世界平和祈りの集い」

平和への道、未来へ向けて/比叡山延暦寺

「平和の祈り」をささげる諸宗教の代表ら


 宗教、宗派を超えて国内外の諸宗教の代表が集まり、平和を祈り合う「世界平和祈りの集い」が8月4日、滋賀県大津市の比叡山延暦寺で行われた。「集い」は1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の提唱でイタリアに諸宗教の指導者が集まった「平和祈願の日」を受け、87年に当地で開催された「比叡山宗教サミット」の精神を引き継ぐため天台宗国際平和宗教協力協会が毎年開催し、今年で36回目。ロシアによるウクライナ侵攻の終わりが見えない中、仏教や神道、キリスト教、イスラム教など内外の諸宗教代表ら約500人が集い、「平和の鐘」の音が響く中、黙祷をささげて紛争や異常気象などの解決を祈った。
  「平和の式典」は炎暑を避けるため延暦寺会館で開かれた。阿部昌宏天台宗宗務総長は会式の辞で、「アジア、アフリカをはじめ世界で戦争が広がっている。戦争は最大の環境破壊であり、武力ではなく対話と相互理解での紛争解決を強く求めたい。新型コロナウイルスのパンデミックでは貧困や格差などの現代世界の課題を再確認させられた。このような時こそ、宗教者は人類の英知による解決を目指し、共に祈り、世界平和を希求し続けなければならない。宗教者は弱者の側に立ち続けることを誓った36年前のサミットを思い起こし、よりよく生きられる時代を共同してつくりたい」と述べた。
 次いで、諸宗教の代表者が登壇し、それぞれの様式で祈りをささげ、各団体の宗教間対話と平和への取り組みについて発言した。登壇したのは、教派神道連合会理事長の宍野史生神道扶桑教管長、全日本仏教会副会長の五條良知金峯山修験本宗管長、日本キリスト教連合会委員長の土屋潔日本アッセンブリーズオブゴッド教団理事長、神社本庁の田中恒清総長、新日本宗教団体連合会常務理事の宮本惠司妙智會教団法嗣、日本ムスリム協会の佐藤裕一副会長。
 続いて海外メッセージの披露があり、世界仏教徒連盟のパロップ・タイアリー会長とローマ教皇庁諸宗教対話省(DID)長官のミゲル・アンヘル・アユソ・ギグソット枢機卿からの平和のメッセージが、それぞれ代読された。
 次に、ユニセフ支援金寄託式があり、本集いの記念品相当額の40万円が、公益財団法人日本ユニセフ協会の早水研専務理事に手渡された。
 「平和の祈り」は例年通り平和の祈り記念碑前広場で行われ、最初に比叡山メッセージの朗読が、若い宗教者を代表して新日本宗教団体連合会の宮本泰克氏と教派神道連合会の北川真喜子氏により行われた。
 次いで「平和の祈り・黙祷」が、田中神社本庁総長、出口大本教主、五條管長、土屋理事長、新日本宗教団体連合会常務理事の力久道臣善隣教教主、遠藤利夫日本ムスリム協会会長、戸松義晴世界宗教者平和会議(WCRP)日本委員会理事長、田中安比呂世界連邦日本宗教委員会副議長・加茂別雷神社宮司と主催者代表の大樹孝啓天台座主が登壇して行われ、平和の鐘が打ち鳴らされた。
 最後に、大樹孝啓天台座主が主催者代表挨拶で「共に集い共に祈ることの大切さを再確認し、世界の恒久平和実現のため宗教者は平和への取り組みにさらなる努力を重ね、その使命を全うすることを心から誓う」と語り、延暦寺の水尾寂芳執行が閉式の辞を述べ終了した。「集い」の様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」でも配信された。