初詣で賑わう京都の社寺

伏見稲荷、瀧尾神社へ

初詣参拝者で混み合う伏見稲荷大社=京都市東山区

 元旦からの3日間、京都市内の社寺は初詣の参拝者、それに海外からのインバウンド観光客で大変な賑わいだった。元旦に最大震度7の地震が石川県能登半島で発生し、また2日に羽田空港で航空機事故が発生したため、今年の正月は不安を抱えてのスタートだった。
 しかし、市内の社寺では大みそかの深夜から翌元旦の閉門まで、雨交じりのうすら寒い天候だったにもかかわらず、今までに無いほどの参拝者を集めた。翌2日は一転して快晴に恵まれ、例えば東山区の伏見稲荷大社では正月三か日で250万人をこえる人々が参拝した。晴着姿の参拝者の中には多くの外国人旅行者も入っていた。
 今年は辰年ということで瀧尾(たきお)神社(東山区)には、参拝者が数百メートルの列をなして並んだ。ここの拝殿の天井には、日本最大となる長さ8メートルの木彫りの龍が身をくねらせて睨みをきかせているからだ。同社の佐々貴信美宮司によると「12年に一度、辰年にはこのように大勢の方が参拝に来られます」とのこと。普段、拝殿の天井を見上げる人はほとんどいないためか、「近所でもこの龍を知らない人は大勢いて、引っ越してきて12年たって初めて気付く人が多くいます」(佐々貴宮司)という。

天井の木彫りの龍を見上げる参拝者=京都市東山区の瀧尾神社

 祇園祭で引かれる山車の一つ大船鉾の船首には、巨大な龍頭が付けられるが、その龍頭を江戸時代の名彫物師・九山一門が彫っていて、ここの龍も手がけた。この巨大な龍が完成した後に、龍が天井を這うことができるような拝殿が寄進され、さらに龍を使いとする辯才天が勧請されたと言われている。つまり、一番先に龍があって、次に龍にあわせた拝殿が造られ、その後に龍を使いとする神様がやって来たというほど立派で有名な龍だ。
 8メートルという長さは本当なのかと佐々貴宮司に聞くと、「ひげの先端からしっぽの先まで、私が巻き尺を使って計りました」とのこと。龍神様に対する愛は並々ならぬもののようだ。参拝者は台湾、韓国、フランスなど海外からも多かったが、地元の人たちは「次にまた混み合うのは12年先の辰年。それまでは静かです」と話した。