靖国神社で秋季例大祭/東京・千代田区

緊急事態宣言解除で多くの参拝客

参向する勅使(筑波和俊掌典)

 東京都千代田区の靖国神社(山口建史宮司)で秋季例大祭が、10月17日の清祓に始まり18日の例大祭まで2日間斎行され、緊急事態宣言解除で多くの参拝客が訪れた。
 岸田文雄首相は17日、「内閣総理大臣 岸田文雄」名で「真榊」を奉納、後藤茂之厚生労働相と若宮健嗣万博相も真榊を奉納した。安倍晋三元首相は14日に、菅義偉前首相は17日に参拝し、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は一斉参拝を見送り、尾辻秀久会長(自民党元参議院副議長)らが17日に代表して参拝した。皇室からは18日の午後に瑤子女王殿下が参拝された。
 さわやかな秋晴れの10月18日午前10時、大太鼓が静寂な境内に鳴り響き、神職が参進。本殿所定の座に着いた。国歌斉唱に続き、神饌が供せられ、初獻の神酒を奠した。その後宮司が祝詞を奏上し、英霊に感謝の誠を捧げた。勅使(筑波和俊掌典)が御幣物を奉って参向、本殿所定の座に着き、宮司が御幣物を神前に奉奠した。勅使は神前に進み御祭文を奏上し、玉串を奉って拝礼した。勅使・随員下向後、「鎮魂頌」が奉奏され、三獻の神酒を奠した後、宮司が玉串を奉って拝礼した。宮司に続き特別参列者及び崇敬者総代が本殿に進み玉串を奉って拝礼した。
 山口宮司は、「コロナ禍での開催という大きな試練の中、多くの人々の尽力により、東京オリンピック、及びパラリンピックが開催され、わが国の選手はすばらしい活躍をみせてくれた。昨年春以来、医療従事者の献身的な努力、ワクチン研究等をはじめ、現在も多くの人々が困難と向き合い、懸命の努力を重ねている。当社では日々の祭祀を通じて、御祭神に国家国民の安寧と一日も早い感染症の終息をお祈りしている。
 本年は、大東亜戦争開戦の詔勅が渙発されてから80年を迎える。先人たちは我が身を顧みることなく、祖国を守るため、国難に立ち向かわれた。御祭神の御遺書やお手紙に記された、祖国、故郷を想う真情、響き合う家族の絆は、今を生きる私たちに平和の尊さや大切な心を教え導いて下さる。これからも靖国神社、各県の護国神社に御参拝へお導き戴き、御祭神のみこころに触れながら、我が国の更なる平安と発展を祈念戴ければ幸いである」と、書中をもって御礼の挨拶を述べた。
 境内の遊就館では、特別展「靖國神社と刀剣─所蔵刀にみる大和魂─」(後期展示)が12月5日まで開催されている。
 戦前、同社では例大祭や合祀祭に際して神剣・神鏡が奉納され、明治12年以前は祓所(はらえど)に神剣が献じられてきた。遊就館には戦歿した英霊が所持していた刀剣をはじめ、歴史上著名な人物が様々な思いを込めて奉納した刀剣など、同社に縁の深い刀剣が保管されている。また、日本刀鍛錬会が境内の鍛錬場で打った「靖國刀」も保存されている。
 特別展では、通常展示で紹介できなかった貴重な刀剣類を広く公開している。
 展示されている英霊の遺品は、ミッドウェー海戦で空母「飛龍」と運命を共にした、山口多聞海軍中将の短刀、沖縄で戦死した山谷慎三陸軍中尉の「満鉄刀」、玉砕したアッツ島守備隊長、山崎保代陸軍中将の刀「兼元」など。日清戦争直後の明治28年に近衛師団長として台湾に出征され、マラリヤに罹り台南にて薨去された北白川宮能久親王御遺品の指揮刀も展示されている。