続・行基のから風呂

2020年12月10日付 770号

 先月号の行基のから風呂の続編。体が軽くなるので週2〜4回は通うようになった。石室に入るので、防空壕のようだと言う人がいたが、天地子の実感は古墳。地方の豪族の長は、こんな部屋に身を横たえていたのかと思う。
 5分ほどいて、石からの輻射熱で体の芯から温まり、汗が出ると、外に出て、昔、渋沢栄一の孫に教わった真向法を再開した。腰から出ている筋を、順番に延ばしていくのである。50代までは続けていたが、その後、中断していた。3日ほどで元に返り、やや自信回復。
 体の柔らかさは頭の柔らかさだと思うので、妻も誘ったのだが、素知らぬ顔。新婚から子育て時代までは互いの生き方の違いが表面化しなかったのだが、制約がほぼなくなった高齢期に頭を出し、老い先に不安を投げかけている。介護される側になるものかと思う。
 温泉が少ない瀬戸内には、かつて50ほどから風呂があったが、今や営業しているのは、さぬき市長尾町のここだけ。赤字続きで市が閉めたのを、地元の有志が借り受け、運営している。石室の耐用は30年ほどだが、市に再建の予算はないという。頑張って支えないといけない。
 先日、農道の舗装工事が始まり、数人で草刈りをした。こうして業者との共同作業にすると、農水省の補助金が全額出るという。おかしな点もあるが、地域の環境を守る予算の使い方としては、ベターだろう。毎年100万円ほどだが、この先5年で農道や水路を改修していく。仲間が喜んで参加してくれるのがうれしい。