美術・開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」皇居三の丸尚蔵館
令和5年11月3日から皇居三の丸尚蔵館で開館記念展「皇室のみやび-受け継ぐ美-」が開催されている。第1期「三の丸尚蔵館の国宝」、第2期「近代皇室を彩る技と美」はすでに終了し、現在は第3期「近世の御所を飾った品々」(令和6年3月12日〔火〕~5月12日〔日〕)。
三の丸尚蔵館は、平成元年(1989)に上皇陛下と香淳皇后により、皇室に代々受け継がれた美術品が国に寄贈されたことを機に、その保存と研究、公開を目的として、平成5年(1993)11月に皇居東御苑に開館した。館名の「尚蔵(しょうぞう)」は、古代律令において蔵司(くらのつかさ)の長官「くらのかみ」をさし、大切に保管するという意味を持ち、また、旧江戸城三の丸の地に建設されたことに由来して「三の丸尚蔵館」と名付けられた。令和元年から新たな施設の建設が進められるとともに、昨年10月に管理・運営が宮内庁から独立行政法人国立文化財機構へ移管され、同年11月より「皇居三の丸尚蔵館」の名称で一部開館した。
同展では4期にわたり、皇室に受け継がれてきた多種多彩な品々を紹介している。第3期では、国宝『更級日記』(藤原定家、鎌倉時代〔13世紀〕、3/12~5/12展示〔半期頁替〕)など「御在来」と称される京都御所に伝来した作品をはじめ、旧桂宮家(かつらのみやけ)伝来の『源氏物語図屏風』(伝狩野永徳 桃山時代〔16~17世紀〕、3/12~4/7展示)といった、近世の御所や宮家を飾った書画や工芸、楽器などを紹介する。
『源氏四季図屏風』(円山応挙、江戸時代〔18世紀〕、4/9~5/12展示)は源氏物語に記される、光源氏が造営した六条院の庭園を描いたもの。円山応挙の卓越した画技により、広大な庭園の、空間の広がりが感じられる。京都御所の伝来品。
『雲紙本和漢朗詠集(くもがみぼんわかんろうえいしゅう) 巻上』(伝藤原行成、平安時代〔11世紀〕、3/12~5/12展示〔半期巻替〕)は、藤原公任(ふじわらのきんとう)撰『和歌朗詠集』を書写した完本で、みなもとのかねゆき源兼行の筆と推定される。名称は藍で染めた雲形(打雲〈うちぐもり〉)のある料紙の使用に由来し、斜めに雲形が配置される点が同作の特徴である。跋文(ばつぶん)からは近衛家で旧蔵の後に禁裏(きんり)御所の所有に期したことが推測される。
会場:皇居三の丸尚蔵館
会期:令和5年11月3日(金・祝)から令和6年6月23日(日)まで
第3期「近世の御所を飾った品々」:3月12日(火)から5月12日(日)まで
(休館日は月曜日、但し4月29日と5月6日は開館し、翌火曜日休館)
開館時間:午前9時30分から午後5時(入館は午後4時30分まで)
<事前に日時指定予約が必要>
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)