建国記念の日奉祝中央式典

日本を「義」の国に/明治神宮会館

奉祝記念講演を行う新保裕司・都留文科大学名誉教授

 令和6年皇紀2684年の「建国記念の日奉祝中央式典」が2月11日、日本の建国を祝う会(大原康男会長)の主催により、東京都渋谷区の明治神宮会館で開催された。式典には約500名の参加者の他、特命全権大使を含む28か国の在日外交団も参列。式典に続き新保祐司・都留文科大学名誉教授が記念講演。表参道では神輿と首都圏の大学ブラスバンド・子供鼓笛隊が元気に奉祝パレードし、沿道の人たちを楽しませた。
 栗田勤副会長の開会の辞で第一部・奉祝中央式典が始まり、国旗を通して橿原神宮に遥拝。国歌斉唱の後、主催者を代表して大原康男会長が挨拶した。
 「皇位の安定的継承と憲法の早期改正をはじめ国民の英知を結集して解決しなければならない問題が山積している。現下の国情に真向い、誘導していくことを互いに誓おう」と述べ、政府主催の奉祝式典が行われるよう要望した。
 来賓の井上信治・自民党幹事長代理は「政府与党は能登半島地震の被災者が平穏な生活を取り戻せるよう、復旧復興に取り組んでいく。憲法改正は全国で国民世論を喚起し、国会発議に向け力を尽くす」と、駐日外交団を代表してサンマリノ共和国のマンリオ・カデロ特命全権大使は「日本は美しい国で、神道の哲学から日常生活に必要な多くを学ぶことができる」と祝辞を述べた。岸田文雄首相は「『建国記念の日』が、我が国の歩みを振り返りつつ先人の努力に感謝し、さらなる日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望する」とのメッセージを寄せた。

井上信治・自民党幹事長代理

 祝電披露の後、東京外国語大学1年の別府寛法氏が決議を朗読し、満場の拍手で採択され、大原会長から自民党の井上幹事長代理へ決議文が手渡された。紀元節の歌の斉唱、百地章日本大学名誉教授による聖寿万歳の後、小柳志乃夫理事が「今こそ古事記に書かれた建国の精神を取り戻そう」と閉会の辞を述べた。
 次いで、奉祝パレードコンテストの表彰式が行われ、優勝校・国学院大学と凖優勝校・東海大学に大原会長から賞状が授与され、両校による演奏が行われた。
 第二部は新保裕司氏の記念講演「美の日本と義の日本」で、要旨は次の通り。
 「美」と「義」をあえて対立的にとらえ、「改元を期に日本を義の国へ」という主張を平成31年(令和元年)年頭にした。それから5年経ち、「義」の意義への共感が深まっているように思える。戦後の平和の中で「美」を愛玩してきたうかつさに気付いたのだ。
 川端康成はノーベル文学賞受賞の後、「美しい日本の私」という記念講演をした。日本の歴史では「美」と「義」の時代が繰り返されている。奈良時代は「義」で平安時代は「美」、鎌倉時代から南北朝にかけては「義」、室町時代は「美」、戦国時代は「義」、安土桃山から江戸時代は「美」、そして明治時代は「義」、大正時代は「美」、昭和の戦前は「義」、戦後と平成は「美」の時代と言える。
 戦後は戦前の反動もあって「美」の時代で、その風潮は平成に流れ込んだ。しかし、それでは過酷な世界に対応できない。だから、令和の日本は「義」の国にならなければならない。
 この発想は内村鑑三の大正12年の講演「美と義」からで、彼は「文明人種が要求するものは美と義で、いずれかを選ぶかによって、国民、文明の性質が異なる。古代ギリシャは『美』を追求したが、ユダヤは『義』を慕った。日本は、『美』を愛する点ではギリシャに似ているが、『義』を愛する意味ではユダヤ的である」と言う。また「本当の『美』は『義』のある所にのみ栄える」とも言っている。
 日本を導くキーワードは「美」ではなく「義」で、「義」が入った本当の「美」にしなければならない。