【スクリーン】ネクスト・ゴール・ウインズ

『ネクスト・ゴール・ウィンズ』 2月23日(金・祝)より全国公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 2001年のW杯オセアニア予選で米領サモアチームは対オーストラリア代表戦で0-31という記録的惨敗を喫した。その恥ずかしい敗北以来、彼らの呼び名は「世界最弱チーム」である。2014年 W 杯予選では長年の汚名を晴らす為、南太平洋ののどかな島国に暮らす彼らには、勝利はおろか、せめて1ゴールを決めてほしいが、それすら期待できない。
 そんな不甲斐ないチームを立て直すため、米国サッカー協会が派遣したのは、選手としても指導者としても実力を十分兼ね備えたトーマス・ロンゲン(マイケル・ファスベンダー)だ。しかし彼は、ある人生の悲しみを経験したことで感情のコントロールが効かなくなり、サッカー界から追放寸前だった。あまりにも文化の違うチームに苛立ちを隠せないロンゲンだったが、彼らが持っているひたむきさや優しさに触れるにつれ、いつしか心に負った傷が少しずつ癒やされていく。そして、サッカーを教えに行ったつもりが逆に彼らに大切なことを教えられていることに気づくのだった。チームを勝利へと導く中、彼自身も、本当の「幸せ」とは何かと悟っていく。
 厳しい勝負の世界を生き抜いて心に傷を抱えた孤独なコーチと、のどかな島国の選手たち。最初はぶつかり合い、喧嘩もするが、挫折を味わったものたちがそれぞれの人生と幸せに向き合い、やがて互いを理解し、チームが一つになっていく。そして彼らは運命のW杯予選の日を迎えるのだった。
 主人公の鬼コーチ、トーマス・ロンゲンを演じるのは、その豊かな才能で、数々の賞に輝く名優マイケル・ファスベンダー。ロンゲンが出会う、オスカー・ナイトリー、カイマナほか、ポリネシアゆかりの俳優たちが醸し出す、ユーモアあふれる、太平洋諸島の人々の魅力的な生き方も見どころだ。人間にとって「幸せ」とは何かを考えさせられる感動のヒューマンドラマである。
 令和6年2月23日(金・祝)全国ロードショー

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