世界平和 祈りの幕開け/神戸市
神戸は国際宗教都市
第7回「世界平和 祈りの幕開け」が11月11日、神戸市内のホテルで宗教者や各国大使など約300名が参加して開催された。主催した NPO神戸平和研究所(杣浩二理事長)は、全ての宗教のルーツは同じで、平和を祈り合うことの大切さを訴え、毎年11月11日にこのイベントを開催している。
開会にあたり、同研究所顧問で生田神社名誉宮司の加藤隆久氏が次のように挨拶した。
明治時代に和歌山県沖で座礁したトルコ軍艦エルトゥール号の生存者が神戸に滞在し治療を受けたこと、大正時代にロシア革命により避難した子供たちを無事に親許に送り届けたこと、杉原千畝が発行したビザで救われたユダヤ人が神戸に滞在したこと、戦後もベトナム難民を受け入れたことなど神戸には人道的国際貢献の歴史がある。
今も58か国、1万2000人以上の外国人が神戸に在住し、キリスト教会、ユダヤ教寺院、イスラム教寺院、中国人が信仰する関帝廟などがある。
神戸は国際港湾都市やファッション都市などと呼ばれるが、国際宗教都市の名称を加えるべきで、国も宗教も異なる人たちが仲良く暮らしている麗しい情景は世界に誇ることができる。この精神で、神戸平和研究所が毎年開催しているのが「祈りの幕開け」である。「共に世界平和を祈りましょう」と開会を宣言した。
来賓挨拶では、駐日サンマリノ共和国のマンリオ・カデロ大使、ウガンダ共和国のカーフワ・トーファス大使、マラウィ共和国のクワチャ・チシザ大使、イタリアのマルコ・プレンチペ在大阪総領事が挨拶し、それぞれに平和の大切さを訴えた。
続いて、仏教、大本教、神道、天理教、イスラム教、キリスト教の代表者によって平和の祈りが捧げられ、参加者全員で世界平和を祈った。
記念講演で杣(そま)理事長が次のように話した。
このたび世界の宗教の共通性に関する研究を英語で発表し、来年、ヘブライ大学で講演することになった。
これまで聖書で「光」と訳されてきた箇所は「光の場所=東の地」と解釈すべきで、古代エジプトと中国や日本との結びつきが理解できる。古代エジプト王の棺に記されている「大」の文字は、インドや中国の遺跡、出雲大社や伊勢神宮などにも共通し、いずれも神を表している。またジャッカルの顔を持つエジプトのアヌビス神が中国や日本では狐として祀られている。
いま日本の縄文時代が注目されていて、三内丸山遺跡にはエジプトや中東との関連を示す証拠があり、古代日本の研究が重要になっている。
講演後、竹岡誠治理事の乾杯の音頭で会食になり、岸田首相からの激励のメッセージが紹介された。イタリア人バイオリニストのマウロ・イウラート氏の演奏が会場を彩る中、国や宗教を超えた参加者らが和やかに歓談し、金岡重雄理事が来年の再会を呼びかけ幕を閉じた。