観賢大徳御一代記

2023年6月10日付 800号

 高松市立鶴尾小学校の田中義人校長から、観賢堂住職だった故山田澄円師の孫の山田哲生さんが見つかり、学校に来ることになったので同席しないかとの知らせがあり、喜んで出かけた。台風2号に伴う豪雨で、予定の麦刈りができなくなったのも幸いした。学校には、同じく麦刈りができない鶴尾校区コミュニティ協議会の植松邦浩会長と高野山讃岐別院主監の峰見行聖さん(高野山真言宗一成院住職)、そして社会労務士の山田哲生さんが集まり、田中校長を交え観賢さんの話で盛り上がった。
 中でも田中校長が飛び上がらんばかりに喜んだのは、山田澄円師が制作した小冊子『観賢大徳御一代記』の原本を孫の哲生さんが持参したこと。得度しながら住職は継がなかった父が数冊、保管していたという。昭和27年の印刷で、援助者として大西禎夫琴電社長をはじめ8人が名を連ね、最後に四国新聞社社長で参議院議員だった平井太郎の名が、手書きで書き加えられていた。
 哲生さんが寄贈するというので、どうすればいいかの話になり、田中校長が県立図書館に持参することに落ち着いた。新聞報道などで観賢さんに興味を持った人が、県立図書館で資料を探すこともあるだろうと。
 観賢さんの親孝行の話は小学校の道徳の本にも載せられており、鶴尾小学校では総合的な学習の中で、ゆかりの史跡を訪ねるなど、郷土の偉人として次世代に伝承されつつある。そうやって体感的に培われるのが本当の歴史観だろう。生まれてきたこと、育ててもらえたことへの感謝が、いのちを大切にする子供たちを育てる。