映画「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
許す・男たちと戦う・この地を去る
原作はカナダの作家ミリアム・トウズが、ボリビアの宗教コミュニティーで実際に起きた出来事から着想した同名小説。
2010年、見渡す限りの畑と子供たちの遊び声、信仰と祈りが支える日常生活を送るキリスト教一派の村は、そのまま平和な暮らしが続くはずだった。
しかし、村の少女たちの体に次々と異変が起こる。朝起きると寝る前にはなかったあざが少女の体に印されているのだ。母親は娘の体の異変を目にしながら抱きしめるしかできない。このコミュニティーの男たちは女性たちの訴えを作り話だと受け流し、悪魔の仕業だと取り合わなかった。
ある日、寝室に忍び込んだ村の青年に気づき、少女が声を上げたことで事態は動き、男たちは逮捕された。彼らが保釈されるまでの2日間、女性たちは大きな納屋に集まり会議をすることになった。記録係として参加した、コミュニティーの外の大学で学び、里帰りした教師のオーガスト・エップ(ベン・ウィショー)が唯一の男性。
この事態にどう対処するか女性たちによる投票が行われ、「許す」「男たちと戦う」「この地を去る」の3つからの選択だった。「戦う」と「去る」が同数となり、最年長のアガタ(ジュティス・アイヴィ)一家とグレタ(シーラ・マッカーシー)一家計8人に考えが任されるようになった。議題は女性を強姦した若い青年たちへの怒りから、青年を駆り立てた男性のヒエラルキー、文字さえも読むことのできない女性たち、そういう状態を容認してきた自分たちへ怒りが向かっていく。そして女性たちはついに結論を出し、行動したのだった…。
人間としての尊厳、生き方、そして幸せとは何かを考えさせられる作品。同作は第95回アカデミー賞作品賞/脚色賞にノミネートされている。
6月2日、TOHOシネマズ シャンテ、渋谷ホワイトシネクイント他、全国公開。