「信徒発見」

2023年3月10日付 797号

 「闇の中を歩む民は、大いなる光を見/死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。あなたは深い喜びと/大きな楽しみをお与えになり/人々は御前に喜び祝った。刈り入れの時を祝うように/戦利品を分け合って楽しむように。彼らの負う軛、肩を打つ杖、虐げる者の鞭を/あなたはミディアンの日のように/折ってくださった。地を踏み鳴らした兵士の靴/血にまみれた軍服はことごとく/火に投げ込まれ、焼き尽くされた。」(イザヤ書9:1─4)


 長き苦難の歴史を経たイスラエル民族の如く、日本のキリシタンも3世紀にわたる厳しい迫害と弾圧を経験し、それでもなお密かに信仰を保ってきた者たちがいた。鎖国が解かれ、長崎に日本二十六聖人を記念する天主堂が献堂された。これを見た浦上の村人が聖堂を訪ね、招き入れた司祭につぶやいた。「ワタシノムネ、アナタトオナジ」。秘めてきた信仰を告白し、重ねて「サンタ・マリアの御像はどこ?」と尋ね、脇祭壇の聖母子像を確認した。西欧キリスト教世界を驚かせた「信徒発見」の一日。1865年3月17日の午後の出来事だった。