3万の献灯で戦没者の慰霊/東京・九段

靖国神社で光の祭典「みたままつり」

献灯が並ぶ参道

 東京・九段にある靖國神社(山口建史宮司)の光の祭典、第75回「みたままつり」が7月13日から16日までの4日間開催された。みたままつりは、境内に数多くの献灯を掲げ、戦没者のみたまを慰める夏祭り。昭和21年のお盆に長野県遺族会が境内で盆踊り大会を開催したのがきっかけで、翌22年から始まった。
 外苑参道の両側には約1万の大型献灯が並ぶ。夕刻になると一斉に灯がともり、東京都心の夜空を黄金色に染めた。遺族、戦友、崇敬者、宗教団体などから奉納された献灯の一つひとつに奉納者の名前が墨書されている。内苑には全国から奉納された約2万の小型献灯が掲げられ、境内は幻想的な雰囲気に包まれている。
 祭典は期間中毎日午後5時から本殿で斎行された。午後8時半までは随時正式参拝がなされ、夜間は本殿に最も近い神域の中庭参拝がゆるされた。
 今年も新型感染症の感染拡大防止のため露店の出店はなかったが、奉納芸能は再開された。
 13日の夕刻、白いユニフォームの千修吹奏楽団は、靖国通りを九段下方面に行進したのち、第一鳥居からドラムのリズムと管楽器の音色を響かせて外苑参道を進んだ。第二鳥居から楽器を納め静寂の内に神門をくぐり拝殿前まで進み出て整列。参拝ののち荘厳に「海ゆかば」の演奏を奉納した。

千修吹奏楽団のブラスバンドパレード

 午後7時、能楽堂では「つのだ☆ひろ野外特別コンサート」が行われた。午後8時半からは、拝殿横で崇教真光青年隊が五色太鼓を奉納。夕闇が拝殿を包む中、勇壮な鼓動が響き渡った。
 その他、日本舞踊、浪曲、民謡、語り部、雅楽、琉球舞踊、浪曲、古武道、モダンダンス等各種の芸能が次々に奉納された。15日午後7時からは恒例の日本歌手協会有志による奉納歌謡公演。懐かしい歌声が能楽堂に響いた。16日夕には、第一鳥居から拝殿前まで芝濱睦・大本山増上寺熊野みこし講の神輿曳き回し、続いて麹町靖國講の神輿曳き回しが行われた。
 本年、大東亜戦争攻防の転換点となった「ミッドウェー作戦」から80年の節目の年。遊就館では、これにちなみ特別展「海鳴りのかなた~波間より現れる戦中の記憶~」が開催中。
 境内には、各界著名人による約300点の懸ぼんぼりと、有名俳人の献句、全国からの2000の献句から選ばれた預選句150句の献句ぼんぼりが掲げられた。神門には、宮城縣護國神社奉納の仙台七夕が彩を添え、遊就館本館玄関には青森ねぶた飾、弘前ねぷた飾り、湯沢絵灯篭、宮島管絃船など全国より奉納された有名燈籠が展示された。