国際宗教同志会創設75周年記念総会
今が正真正銘の歴史の分岐点
6月6日、大阪市北区のリーガロイヤルホテル大阪で国際宗教同志会の総会が開催された。午後2時半、理事会に続いて総会が始まり、井桁雄弘・浄土宗総本山知恩院執事長が平和の祈りを捧げた。
開会の挨拶で芳村正德会長(神習教教主)は「1947年に仏教、神社、キリスト教、教派神道、新宗教と超宗派の団体として発足した本会は、海外の要人とも交流しながら75年間歩んできた。先人はじめ皆様に心から御礼申し上げ、75周年を祝いたい」と挨拶。曹洞宗審事院長の村山廣甫東光院住職が議長に選出され、審議が行われた。
続いて前国際連合日本政府代表部大使の星野俊也・大阪大学大学院国際公共政策科教授が「グローバルリスクの現在と次なる世界秩序の精神とは」と題し、次のように講演した。
今は正真正銘、歴史の岐路に立たされている。戦後体制が機能不全に陥り、ロシアのウクライナ侵攻、気候変動、地球温暖化など、全人類・全地球規模の危機になり、宗教的には地獄末法の入り口に立たされている。
グローバルリスクには二つあり、一つは人間の意図と作為による危機で、紛争、戦争、テロ、差別、人権侵害など。二つ目は人間の不作為・無関心により悪化した危機で、気候変動、地球温暖化、感染症などだ。その危機は、地球の限界、世界や社会の分断、科学技術やイノベーションの暴走にまとめられる。
地球の限界で一番の危機は生物多様性で、様々な所で日々種が絶滅している。地球には自己再生能力があるが、今は人間が普通の生活をしていても、1・7個分の地球が必要だ。2050年になってからでは手遅れで、今からの10年間が重要である。国連で採択されたSDGsも2030年が目標だ。
ロシアのウクライナ侵攻が起きた理由の一つは、地政学的な分断である。アメリカが弱まり、中国が躍進し、ロシアはロシア帝国にノスタルジーがある。二番目はプーチン大統領のパーソナリティで、世界にも心の中にも悪は存在する。2008年のジョージア侵攻、14年のクリミア半島併合に、日本政府も含め世界は毅然たる態度を取れなかった。安全保障理事会の常任理事国が国際社会のルールを根底から揺るがしたのだから国連改革が不可欠で、日本ならではの発信をしてほしい。
グティエレス事務総長は昨年9月、報告書「私たちの共通の課題」を出し、同じことを言っている。やはり人間がどういう行動をとるのかが重要で、宗教指導者には、持続可能な平和と繁栄の道を歩むよう道案内の一翼を担ってほしい。
次いで左藤一義新会長(大谷学園理事長)は、「感謝の心を持って生きていくことが大切で、それを皆さんと一緒に伝えていきたい」と語り、閉会の挨拶で三宅光雄理事長は「昭和22年1月10日、金光教泉尾教会の青年部の集いで牧野虎次同志社総長が記念講演したのがきっかけで、牧野先生を発起人に祖父の三宅歳雄らが国際宗教同志会を創設した。それが大きな動きになり、今も加盟団体が増えている。この75年を喜び、しっかり頑張ることを誓いたい」と述べ、宮本惠司・妙智會法嗣の平和の祈りで閉会した。