世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者神奈川寒川大会
神道の精神で世界を平和に/寒川神社
第41回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者神奈川寒川大会が12月17日、神奈川県寒川町の寒川神社で、「令和の平和への願い」をテーマに世界連邦日本宗教委員会(田中恆清会長)主催により開催された。 午前、寒川神社本殿で「平和の祈り」が執り行われ、午後、開会式の後、枡野俊明多摩美術大学教授(徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー)と外交評論家の加瀬英明氏が講演をした。閉会式で大会宣言文が採択された。
「平和の祈り」は神道の伝統に則り、修祓の儀から始まり、斎主一拝、献饌の儀の後、斎主により祝詞が奏上された。巫女2人により神楽舞が奉奏され、斎主が玉串を奉って拝礼。続いて各宗教界の代表が玉串奉奠をし、撤饌の儀、宮司一拝で修められた。その後、参加者は寒川神社の神獄山神苑を拝観した。
午後、寒川神社参集館で大会。初めに宍野史生大会副実行委員長(神道扶桑教管長)の先導で、「祈りの言葉」を参加者一同が唱和し、黙祷した。黒住宗道大会副実行委員長は開会挨拶で「和を以て貴しと為す。私たちの真心と祈りがお役に立つこの大会となっていけるよう願う」と話し、大会長の利根康教寒川神社宮司が「平成27年8月に、寒川町仏教会と共催で『平和祈願祭』を斎行し、異なる宗教であっても平和を希求する気持ちには相違ないことを再認識した。日本人の『美しい調和』の心で、地域と手を携えることが世界平和への一助となる」と挨拶した。
田中大会実行委員長(神社本庁総長)は「私は昭和48年から携わり、多くの先達から教えをいただいた。最も尊敬する比叡山延暦寺の葉上照澄先生はいつも『打ち上げ花火はだめだ、始めたら1人になろうが続けないと意味がない』とおっしゃっていた。その教えを受け、皆様の協力を得ながら続けている」と語った。
来賓紹介の後、代表して岡田光央日本宗教連盟理事長(崇教真光教え主)が「未来の人類に向けて一粒の『良き種』という利他愛の精神を与え、責めず、裁かず、赦す、大いなる心を涵養し、麗しい共生・共栄の社会を再構築せねばならない。諸宗教の英知を結集し、『真の平和』への道のりを真摯に討議し、強く示すことを願う」と祝辞を述べた。
次に寒川神社神獄山神苑のデザインも手掛けた枡野教授が「相互理解と連携の推進」と題し次のように特別講演をした。
「現代社会の色々な問題に宗教界も巻き込まれている。情報化が進むAIの時代に、心の問題をどうしたらいいのか、宗教の役割をもう一度考える必要がある。各宗教の代表者が互いの宗教の伝統を理解し、尊重し、連携を図る。世界平和と自然環境の保全、共に生きる環境をつくるのが宗教者の共通の願いだ。国連が定めたSDGs(持続可能な開発目標)のテーマは『すべての人が一丸となって達成すべきもの、誰一人取り残さないもの』で、宗教界が目指すものと同じ。2030年までの目標達成率で日本は今世界15位。宗教関係者が連携し、継続することが大切だ」
続いて外交評論家の加瀬英明氏が「“世界”が“日本”を待っている」と題し、次のように基調講演をした。
「126代にわたる天皇陛下を戴いているような例は世界にない。日本の神々には序列がないが、他国の神には序列がある。『宗教』や『個人』などは明治以降に入ってきた言葉だが『和』はもともと日本にあり、日本人は全て同質だと考えてきた。『日本神話』では神々も仕事を持ち、神社の神宝館には、周辺の匠が作ったものを神社に奉納したから、日本ではものつくりも神事である。
今は世界中に日本食レストランがあり、アメリカでは日本食が国民食になりつつある。浮世絵がきっかけで西欧でジャポニスムがはやり、国立西洋美術館を設計したル・コルビュジエは日本建築の影響を受けた。イチゴはオランダから、リンゴはアメリカから来たものだが、今では日本の産品の方が本国の物よりおいしい。
心は分かち合えるから、やがて日本の考えが世界に広がり、世界に日本の時代が訪れるだろう。今世界で抗争が絶えないのは、対立する論理で成り立っているからだ。和の国、日本の神道精神が世界に広まれば世界平和が可能になるだろう」
神楽「田打舞」が奉納された後に、大会の宣言文が黒住副委員長より読み上げられ、満場一致で採択された。