京都

2019年8月10日付

 4日夜は岡崎近くのゲストハウスに泊まる。二段ベッドの上のフランス人の若者に、京都は暑いだろうと言うと、気にならないとの返事。1カ月のバカンスで来日5日目という、彼らの暮らし方に感心する▼オーナーが経営している浄土寺の銭湯に案内され、京都の学生時代を思い出す。ジェット噴流に身を任せると、富士登山の疲れもとれたようで同夜は爆睡▼翌朝4時半に宿を出て、徒歩で清水寺へ約30分。青蓮院門跡のケヤキの巨木が剪定されて涼しそう。知恩院から高台寺前の「ねねの道」を歩くと、石畳を老夫婦が散歩していた▼円山公園に着くと、東山の端が明るくなりかけ、まるで枕草子の「春はあけぼのやうやう白く〜」。ここで猫と遊ぶ。石のテーブルに置かれていた猫のエサで誘うと、黒猫が2匹、のどを鳴らして近づいてきた▼二年坂から三年坂を登ると清水道。うらぼん法話に集まる人はたいてい車かタクシー。自転車をこぐ老人を見たのは初めてで、珍しく歩いていた老婦人に挨拶する▼会場に着くと椅子は既に満席。京都の夏は学びの夏でもあり、各社寺ではいろいろな催しを用意している▼法話が終わると帰りにパン2個と牛乳を頂け、拝観料はいらないので、袋を手に境内を散策。もみじの緑に目を癒やしながら、ベンチであんパンを食べる▼清水寺は国宝の本堂が平成の大修理の最終段階で、檜皮葺の屋根を葺き替えていた。音羽の滝を過ぎ、舞台を支える柱を見上げ、アテルイ・モレの碑へ。坂上田村麻呂に滅ぼされた蝦夷の英雄と母の悲しい歴史を思う。