美術「十三代目市川團十郎白猿襲名記念 成田屋市川團十郎の書と絵画」

併催 成田山書道美術館所蔵優品展 生誕100年の書家
成田山書道美術館

 歌舞伎の大名跡である市川團十郎は、屋号を「成田屋」とすることからもうかがえるように、初代から今に至るまで、成田山新勝寺と深いかかわりがある。初代の父が下総国埴生郡播谷村(現・成田市播谷)に住んだとされることから、初代は播谷村から程近い成田山を篤く信仰し、自ら成田不動の姿で舞台にも立った。以後代々の團十郎も、成田山への信仰はもちろん、成田山が江戸で出開帳をおこなう折には取り持ち役を務め、病にかかれば快癒を祈願し、跡継ぎの誕生を望み子宝を祈願するなど、成田山と團十郎とは切っても切れない関係にあり、その縁は今日に至るまで連綿と続いている。

 「隋市川」(「隋一の市川團十郎家」)と称賛され、江戸歌舞伎界で最高の家柄の役者と言われた通り、團十郎の名跡は歌舞伎の世界でも特別なものである。役者の中心的存在であると同時に、代々の團十郎は、いずれもそれぞれ同時代の狂歌師や劇作者、絵師、書家らと親しく交流する一般の文化人でもあった。彼ら自身俳句や狂歌をたしなみ、書や絵画の筆を執るなど才能は多岐にわたり、この成田山にも、團十郎の筆跡が少なからず残されている。

 今年11月、当代の市川海老蔵丈は、十三代目市川團十郎白猿を襲名し、歌舞伎界に團十郎の名跡が実に9年ぶりに復活した。この襲名を記念し、代々の團十郎自身の手による書や絵画を集めた特別展を開催する。中には市川家から借用した市川家伝来の品も多く含まれている。江戸時代から今に至るまで、歌舞伎界の巨星としてその名を轟かせてきた代々の市川團十郎の息遣いを間近に感じることができる。
 なお、1階では書道美術館蔵品から生誕100年の作家の書が展示される。

会期:令和5年1月1日(日)から2月12日(日)まで(休館日:1月10日、16日、23日、30日、2月6日)
会場:成田山書道美術館(成田山新勝寺境内、成田山公園内)
開館時間 午前9時から午後4時まで(最終入館は午後3時半)
お問い合わせ:0476-24-0774