希望を失わず

2022年6月10日付 788号

   「わたしたちは信仰によって義とされたのだから、わたしたちの主イエス・キリストによって神との間に平和を得ており、このキリストのお陰で、今の恵みに信仰によって導き入れられ、神の栄光にあずかる希望を誇りにしています。そればかりでなく、苦難をも誇りとします。わたしたちは知っているのです、苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生むということを。希望はわたしたちを欺くことがありません。わたしたちに与えられた聖霊によって、神の愛がわたしたちの心に注がれているからです。」(ローマの信徒への手紙5:1─5)
 殉教の道をたどることになる使徒パウロのことば。イエスをキリストと仰ぐ輩をあれほど迫害していたユダヤ人サウロが福音を説く者となり、ローマ帝国を舞台として国際的に宣教活動に乗り出した。その時から彼はパウロと呼ばれる。復活されたイエスとの出会い、目から鱗がとれるような回心を体験したことをあからさまに証している。その後、幾度も苦難と迫害を越えながら、決して希望を失うことはなかった。彼の内に注がれた聖霊によって、神への愛が燃えていたからである。

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