日本の農業

2022年7月10日付 789号

 4月中旬に植えたコシヒカリが7月中旬になり出穂を迎えた。すると仲間から、やわらかい稲穂にカメムシが群がっているとの電話。さっそく、ドローンの会社と防除の打ち合わせをする。無線ヘリコプターに比べ音が静かなので早朝から作業ができ、二人で操作できるドローンは、今や防除の主役になっている。
 四国では例年より短い梅雨だったが、今になって戻り梅雨になったように雨が続き、防除の日程に苦労する。こんな天候だといもち病が発生しそう。いもち病菌というカビの寄生によって発生する感染力の強い病害で、これには別の薬剤を散布しないといけない。ドローン用の薬剤が開発されるのはいいが、どれも高価。米価は下落が続き、日本の農業、日本人の食はどうなるのか心配になる。
 一方、パリではおむすびが一個600円で売れているという。特産の乾麺は賞味期限が180日に延び、輸出にめどがついたという。有望なのはカップご飯にカップうどん。いずれも技術開発が道を開いている。少子高齢化の日本より、農業も世界を目指すしかない。
 5月から農事組合法人の代表になり、農水省やJA、県農業生産課などの話を聞く機会が増えた。すると、日常作業と話が少しずつ絡み合い、仕事の全体像が見え始める。ややこしい補助金の仕組みも、なるほどそういうことかと分かってきた。人の知はこうやって進歩するのだろう。立場が人をつくるのである。