三十三間堂で「通し矢」/京都

晴れ着の新成人が平和願う

的に狙いを定める晴れ着の新成人たち

 1月16日早朝、京都市東山区の三十三間堂(妙法院蓮華王院本堂)で恒例の「通し矢」が催された。試技に先立って大会名誉会長の杉谷義純妙法院門主から、世界平和と本大会参加者の健勝を祈念する加持が授けられた。
 振り袖、袴すがたの新成人たちは6人ずつ横一列に並び、的に向かって弓弦を引き絞り、わずかに仰角を付けて空に向けて射るように狙いを定める。放たれた矢は底冷えの京都の冷気を引き裂いて、次々に的に向かった。その距離60メートル。緩い放物線を描いて的に刺さる音が、三十三間堂を背景にした射場に心地よく鳴り響いた。
 射手はそれぞれ2本の矢を射る。一本は自分の願いを、もう一本は他の人の幸せを願いながら弓を引くと良いとされる。三十三間堂は平清盛の支援により後白河上皇が創建、通し矢は、平安後期の保元年間(1156〜59年)に始まり、江戸時代には武士が軒下で夜通し射て、通すことができた矢の数を競ったという。
 現在では、妙法院と京都府弓道連盟が「三十三間堂大的(おおまと)全国大会」として成人の日に合わせて開く。昨年はコロナ禍のため中止、今年は無観客での72回目となった。
 晴れ着の新成人(女性)の一人は、「大学に入ってから厳しい体育会系の弓道部に入ったので、早く試合に出られるよう上達したいと願って弓を引きました」と語った。