「にっぽん文明研究所」師走の大祓え
新型コロナウイルス終息を祈願/高円寺氷川神社
12月19日、東京都杉並区の高円寺氷川神社で、神道神祇本廰とNPO法人「にっぽん文明研究所」(奈良泰秀代表)の共催で令和3年度「師走大祓祭」が斎行された。この年に二度の大祓式の神事は國學院大學院友会館が建設された翌年から継続されている。
「大祓」とは、すべての人々が知らない間に犯した、あるいは犯してしまう罪咎穢れを祓い、国の災禍を除くために6月と12月に執り行われる伝統神事。古事記や日本書紀にも大祓の記事があり、平安時代には京都の朱雀門に階層を問わず皇族はじめ一般庶民まで集めて中臣氏が「大祓詞」を宣読した後に卜部氏が祓の儀式を行い、これを国事行為として扱ってきた。大祓は大嘗祭など重要な祭儀の前や斎宮の卜定、悪疫や天災など異変の際にも臨時に執り行われ、現在は半期の穢れを祓い、次の半期の無事と幸せを願う節目の神事となっている。
今回の神事は新型コロナウイルス感染防止のため一般の参列を中止し、神職と数名のゲストのみで執り行われた。「災禍と邪気を祓い社会の繁栄発展と皆さんの弥栄と健康を願う大祓え」と題し、国や社会をはじめ国民や個人が知らない間に犯した罪や咎、触れた穢れや禍を祓うもので、日本の平和と繁栄、個人の安寧と幸せを祈願して、令和4年の上半期を迎えることが主願。今回は新型コロナウイルス終息祈願も行われた。
神事は奈良代表が斎主を務め7名の祭員とともに入場、まず神前拝礼、修祓、献火・忌火ノ儀、一同瞑目するなか斎主が岩笛を吹奏し鎮魂、降神ノ儀、献饌とつづき、大祓詞進言祝詞を奏上した。
「中国大陸より新型コロナウイルスなる流行り病現れ出でて、黒雲の如(ごと)世界(あめのした)の諸国に拡がり往きて、我が日の本の国に在りては感染者(やまひのうつりびと)の数を漸々(やわやわ)に減らし往くも、突如新たにオミクロンなる変異ウイルスも現れ出でて、いとも由々しき事態(あらざま)になれば、大神等(おほかみたち)の御神慮(みはかり)以て 科戸(しなど)の風の天の八重雲を吹き放つ如く、気吹き(ゐぶき)払い退(そ)け給ひて、平穏に波風立たぬ賑び栄え往く平和(やすらぎ)の浦安き社会(よ)へと導き給へ」 と新型コロナウイルス終息と犠牲者の鎮魂を祈願した。その後一人ひとりの氏名・住所を読み上げ令和4年の上半期の無病息災を祈祷した。
次に大祓詞を全員で奉唱、会場は大きな声に包まれ、斎主が玉串を奉って拝礼し、参列者がそれに続いた。撤饌、鎮魂(岩笛吹奏)、昇神ノ儀の後に人形清祓の儀が行われた。 それぞれの自身の穢れや災厄を移した人形を、神職が祓う。この人形には氏名、生年月日、年齢が書かれており、人形を手に持ち自らの体をなでて息を3回吹きかけ、もろもろの罪穢れをうつしたもの。最後に人形を斎主が大麻で独自な修法で祓った後、消灯の儀。斎主と参列者が神前拝礼し、令和3年度「師走大祓祭」は滞りなく、修められた。
直会で奈良代表は挨拶し、「我々の神職養成講座は通算86回になるが、広告なし口コミのみで行ってきた。来年からは少しやり方を変えたい。小笠原弓馬術の六作法を神道作法に当てはめることを考え行ったことが、今も生きている。それゆえどこよりも良い作法を教える自信がある。受講者は初級、中級、上級と講座に通いながら、先輩の姿を見て学んできた。我々はコロナ禍によって苦しんでいる神社の救済を考えている」と述べた。