花の里へ

2021年11月10日付 781号

 コシヒカリを刈り取った田んぼにまいたコスモスが、10月中旬にほぼ満開になった。当初、花見の交流会をしようかと考えたのだが、反応がいまいちだったので、妻のアドバイスで「自由にお摘み取りください」の看板を立て、ハサミを吊るしておいた。地域の人たちとの付き合いは、ナイーブでないと押し付けになってしまう。
 天地子が花好きなことを知った近所の婦人たちから、花をもらうことが増えた。中には珍しい花もあり、わが家の玄関先と花壇が華やかになった。花には人の気持ちを前向きにさせる力があるようだ。阪神淡路大震災の折、美智子皇后によって皇居から被災地にもたらされたスイセンが、その後、東日本大震災の被災地にも植えられたことを思い出す。
 今年の成果は、小学校の通学路の脇に植えたマリーゴールド。6月から11月まで橙色と黄色の花を咲かせ、道路がパッと明るくなった。反対側の道路脇にはコスモスが咲き、コントラストが楽しい。来年は、通学路坂の土手にコキアを植えようと思う。乾燥に強いうえ、季節によって緑から赤く変わり、長く目を楽しませてくれる。稲刈り後の田んぼの一つには、マリーゴールドでシンボル的な言葉を描こうと思う。バックの草の緑に鮮やかに映えるに違いない。
 冬には山裾の竹林を仲間と切り開き、いずれ山桜を植えたいと思っている。街部から散歩に来る人も多いので、花の里に変わったこの地域を好きになってもらえるだろう。老後の夢もけっこう楽しい。

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