明治150年の国づくり

2018年1月5・20日付 729号
本紙代表 前田外治

 平成三十年を迎え、心からお慶びを申し上げます。
 今年は明治維新から百五十年という近代日本にとって節目の年です。明治を代表する宗教家で知識人の内村鑑三は、明治二十五年に発表した論文「日本国の天職」で、日本の風土や歴史を踏まえながら「東西両洋の仲裁人、器械的な欧米を理想的なアジアに紹介しようとし、進取的な西洋を以って保守的な東洋を開こうとする。これが日本帝国の天職と信ずる」と述べています。
 内村が『代表的日本人』の筆頭に挙げた西郷隆盛は、幕末・維新の精神的支柱でありながら、東洋的な徳治からほど遠い明治政府から下野し、西南戦争を起こして国賊とされ、名誉回復が成ったのは明治憲法発布の二十二年です。西郷が目指したのは農業と工業のバランスのとれた経済と、アジア諸国との連携によるロシアをはじめ西洋列強への対抗でした。
 歴史的に、日本の国づくりは海外からの脅威に対して成されてきました。その初めが白村江の敗戦後の天智・天武天皇による統一的な律令国家で、先の大戦の敗戦後を心配する臣下に対し、昭和天皇はその事例を語り諭されたそうです。
 戦争や自然災害の危機に際し、歴代天皇は自ら範となり、日本人のあるべき姿を示してこられました。それにより、世界と親しく交流しながら、古来からの伝統文化を存続し、発展させてきたのです。私たちはこの日本に生まれたことに感謝し、自ら善き人となり、楽しい家庭、住みよい地域、活力ある国、そして平和な世界を築いていきたいものです。