新しい憲法を制定する推進大会/砂防会館

国民の手で時代に合う憲法を

挨拶する安倍晋三元総理大臣

 5月23日、東京都千代田区の砂防会館で新憲法制定議員同盟主催の「新しい憲法を制定する推進大会」が開催された。新型コロナウイルス感染症対策が行われる中、各地から多くの人が集まり、動画配信による同時中継も行われた。
 午後4時、司会の柳本卓治前参議院議員の開会宣言で第1部が始まり、ヴァイオリンとギターの演奏に続き、ジャーナリストの細川珠生氏が「子供たちのために新しい憲法を」と題し次のように講演した。
 「大叔父の政治評論家・細川隆元は昭和31年にできた岸内閣の憲法調査会で学識経験者を務めた。憲法に関しては、父・隆一郎の思いがあり、私も関心を持ってきた。コロナ感染拡大当初、米国は国家非常事態宣言を出し、対処してきた。既に70年の独立国家である日本が、憲法条文の一字一句も変えられないのは非常に残念だ。一刻も早く今の時代に合った憲法を日本人の手で作らなければならない」
 続いて、産経新聞論説委員長の乾正人氏が講演し、「ICBMが発射された場合を想定し、米国では避難訓練をしているが、日本ではしていない。核シェルターの比率は全国民の0・02%で、イスラエルの100%、スイスとノルウェーの98%、アメリカの82%、ロシアの70%に比べて少ない。『平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼して』という憲法前文と9条を変えないといけない」と話した。
 岸田文雄総理はビデオメッセージで「現行憲法は施行から75年が経過し、時代にそぐわない部分は改正すべきと考えている。新型コロナへの対応、ロシアによるウクライナ侵略を受け、緊急事態への備えに対する関心が高まり、国民の命と安全を守るため真剣に議論し、深めなければならない。自民党では自衛隊の明記をはじめ、緊急事態対応、合区解消、教育の充実の4項目について、憲法改正の素案を取りまとめた。国会では2月10日、憲法審査会が開催され、憲法改正の議論が重ねられている。憲法改正に関する国民的議論を喚起し、理解を深めていかなければならない」と述べた。麻生太郎自民党副総裁はビデオで「自民党は立党以来、憲法改定を党是としてきた。国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の基本理念は揺るがない。中曽根元総理の遺志を受け継ぎ、憲法改正の機運を盛り上げていきたい」と語った。
 第2部式典では、国歌演奏の後、愛知和男幹事長が「中曽根会長の志を実現することが我々の使命だ」と開会の辞を述べ、参加国会議員の紹介に続き、同議員同盟名誉会長になった安倍晋三元総理が次のように挨拶した。
 「安倍政権では総理自身が憲法改正の提案をした。現在は岸田総理の下で憲法改正の論議が盛り上がっている。岸田総理は防衛費の相当な増額を約束し、バイデン米大統領はそれを歓迎した。憲法改正では日本人は国民投票により、自身の手で条文を変えることになる。しっかりと国会で議論し、審判を受けるべきだ」
 各党代表挨拶では、自民党の古屋圭司憲法改正実現本部長が「憲法改正推進本部を実現本部に改称し、現在まで175回以上講演会を開いた。我々は憲法改正に向けて徹底的に環境整備し、世論を喚起して、国民運動を行っていく」と語り、公明党の北側一雄副代表は「今年の憲法審査会は13回、毎週木曜に開き、中身のある議論ができている」と述べた。また日本維新の会の足立康史憲法改正調査会長は「本会も憲法9条の条文を出した。与党と議論し、国民に提案していきたい」と、国民民主党の玉木雄一郎代表は「私は高い思いで毎週、憲法審査会に臨んでいる」とそれぞれ語った。
 続いて各団体代表が挨拶し、新藤義孝自民党憲法改正実現本部事務総長が大会決議を読み満場一致で採択され、中曽根弘文幹事長代行が閉会の辞を述べた。