全速力で宇宙に帰る最期に

2021年10月10日付 780号

 近所の90を超えた老夫婦の夫が足がおぼつかなくなり、妻は老人施設に入り、通ってくる70近くの娘から、父が外に出て動けなくなったら助けてほしい、と相談された。重すぎて女性の手におえないという。他人事ではない。里山クラブはそんなためにもあるので、いつでも連絡してくださいと答えると、安心した様子だった。そんな家が増えている。
 コロナ禍で困ったのは、行事や集会が少なくなったので、互いの様子が見えなくなったこと。都会ではもっと大変だろう。これに災害が発生すると、助けが必要な人がどこにいるのか、わからない。仲間と作った里山クラブは、地域の環境維持・改善が目的だが、独居老人の見守りも入れようと思う。
 オンラインで看取り士のフォーラムを視聴し、東大寺での凝然大徳の御忌法要を取材しながら、自らの老い方、死に方を考えた。今大事なのは、健康を維持すること。それもあり、夫婦の老後のため、と言っても十分老後なのだが、隣接の築50年の家をリフォームしている。農協にローンを申し込むと、80までに払い終えるよう言われた。人生100歳時代に、社会はまだ対応していない。
 妻は、息子夫婦が孫たちを連れて帰れば泊まれる、女性の集会に使えるわ、と気楽に喜んでいる。農作業をはじめますます忙しくなり、ホリスティック医学の帯津敬三医師が言うように、歳とともに加速し、全速力で宇宙に帰るような最期にしたい。

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