例祭でコロナ沈静化祈願/富岡八幡宮

深川八幡祭りの写真展も

神前神楽舞『富岡の舞』の奉納

 東京都江東区に鎮座する富岡八幡宮(丸山聡一宮司)は古くから深川の八幡様として親しまれてきた。寛永4年(1627)に創建され、江戸時代には徳川将軍家の手厚い保護を受け、多くの人々の信仰を集めた。庶民の信仰は今日まで変わることなく受け継がれてきた。
 8月13日から15日、例祭期間を迎えた富岡八幡宮では、13、14の両日午前9時より「朝御饌祭」、期間中の各日午後3時より「神楽奉奏」が行われた。
 15日は、午前11時より本殿内にて例祭祭典が斎行され、日本および世界の繁栄と氏子崇敬者の平安、そして一刻も早いコロナ感染症の沈静化を祈願した。感染症対策のため、総代、崇敬会役員、神輿総代連合会役員が氏子崇敬者を代表して参列した。
 祭典は修祓、神饌、祝詞奏上に続き神前神楽舞「富岡の舞」が奉納された。昭和31年に富岡八幡宮の戦後復興を奉祝して作られた舞で、当時の富岡盛彦宮司が謹作した「富ヶ岡 宮居高くも 仰ぐかな 朝夕べに 神のみいつを」との和歌に、元宮内省楽長多忠朝氏が作曲・作舞したもの。舞の後、宮司、総代らの玉串拝礼と続き、滞りなく終了した。
 昨年は、3年ごとに巡る深川八幡祭りの「本祭り」に当たり、東京オリンピックの開催と重なり鳳輦渡御及各町神輿連合渡御が盛大に行われる予定だった。これがコロナ禍により今年に延期となっていたが、今年もコロナ禍終息の見通しが立たず、やむなく中止。2年後の「本祭り」を待つことになった。
 境内での「奉納演芸」「生花展」も中止となったが、伝統ある深川八幡祭りの熱気を伝えようと、神輿総代連合会との共催で『深川八幡祭り わっしょい! 写真展』を開催。境内の神輿庫・東屋・特設テントに八幡祭りの情景を写した貴重な写真が約120点展示された。神輿庫も開扉され、平成3年に新調された日本一を誇る御本社一の宮神輿と平成9年に製作された御本社二の宮神輿を間近に拝することができた。
 江戸から大正期にかけては紀伊国屋文左衛門奉納と伝えられる三基の御本社神輿が渡御していたが、関東大震災で焼失。その代わりに68年ぶりに新調されたのが御本社一の宮神輿(御鳳輦)。随所に純金や宝石を散りばめた絢爛豪華さに圧倒される。
 3年に一度行われる本祭りでは、八幡宮の神様が乗られた御鳳輦が渡御。また、町神輿が大小あわせて百二十数基が町内を練り歩く。そのうち大神輿53基が勢ぞろいする連合渡御は圧巻。担ぎ手の浄めとして水をかける。「水かけ祭り」としても知られる「深川八幡祭り」は赤坂日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つ。