自宅幸せ死を目指して

日本の看取りを考える全国フォーラム/名古屋市

フォーラムの様子

 幸せな最期を迎えるよう、死を迎える人に寄り添う看取り士育成のため「看取り」を学問的に深める日本看取り学会(柴田久美子会長)主催の第7回全国フォーラムが9月26日、名古屋市の愛知県女性総合センターウイルあいちで開かれた。2人の講演と「あなたは誰に看取られたい?」をテーマにシンポジウム。コロナ禍の影響で、参加者は愛知県内の80名に制限し、県外からはオンラインで参加した。
 オープニングの日本舞踊(花柳流・花柳柳優)上映に続き、「死んだらどうなる?」と題して大門正幸中部大学教授・バージニア大学客員教授が講演した。
 大門教授は臨死体験に共通する現象、魂が肉体から離脱し、暗いトンネルを抜けると眩しい光に出会い、親や様々な人との出会いや自分の人生を回顧する──を紹介。次に、「前世療法」では前世者との一体により幸福感に満たされる事例を報告し、全ての存在は愛によって繋がり合い、生命エネルギーが輝くと述べた。そして「生まれ変わり現象」の特徴を語りながら歌を披露し会場を沸かせた。
 以上の事例から、人が生まれたのは「愛すること」と「学ぶ」ためで、死を前にして不安や恐れ、寂しさに襲われるが、生まれ変わりがあると知っていれば気持ちが変わるのではないかと結んだ。
 続いて、「多死社会における死生観のあり方」と題して藤和彦経済産業省経済産業研究所上席研究員が講演。
 藤氏は冒頭、自身の父の臨終で、子供らと父の遺体を抱きしめる「命のバトン」を行った体験を述べ、看取りの重要性を語った。しかし、多死社会なのに死が隠蔽され、介護施設に入ると社会から隔離される「悲しい現実」を指摘した。また、今年7月に出版した自著『人は生まれ変わる〜縄文の心でアフターコロナを生きる〜』を紹介しながら、縄文時代の母胎に見立てた土器に子供の遺体を入れる「土器棺墓」に「生まれ変わり」の死生観が見られると述べた。
 魂の尊さを体験する看取りの「生まれ変わり」死生観が若い世代に広まることで、「望ましい最期」が日本の「弔い」を変え少子化を止める、看取りは希望だ、と締めくくった。
 次に、柴田久美子日本看取り士会会長と大門氏、藤氏による鼎談が行われた。大門教授は、稲盛和夫氏が人生の目標を「魂磨き」としていることを紹介し、生まれ変わりを知ることが人生を輝かす、と感想を語った。藤氏は、そう考えた方が楽しく、日本社会の良さを取り戻せる、と応じた。柴田会長は、看取りの活動自体が前世から引き継いだもので、生まれ変わりを信じ、徳を積むことで来世はもっと素晴らしいステージになる、それは250人の臨終に立ち会って感じてきたこと、と語った。
 続いて、事前にオンラインで収録されたシンポジウム「あなたは誰に看取られたいですか?」を上映。稲増美佳子看取り士が座長を務め、柴田会長や名古屋の白瀧貴美子看取り士や舩井勝仁㈱舩井本社代表、渡部俊弘北海道文教大学長が発言した。
 閉会の辞で柴田会長は、看取り士は現在1244名で、ボランティアのエンジェルチームが1277支部に広がり、映画「看取り士」が10月1日、ロサンゼルス日本映画祭で上映されることを報告。「看取り士会の夢は全ての人が最期、愛されていると感じて旅立てる社会創りです」と締めくくった。