公平・公正な審理を求める有識者の会が記者会見を開く
旧統一教会の解散命令をめぐり専門家らが理不尽な扱いを指摘
宗教界全体に悪影響が及ぶことを懸念

2025年3月、東京地方裁判所は旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に対し解散命令を下した。この判決は、多くの宗教法人に影響を与える可能性があるため、法律の専門家や宗教者らがその法的妥当性を問い直し、公正な審理の実現を求める記者会見を2025年8月6日に東京都内で開催した。
記者会見開催の背景と目的
「公平・公正な審理を求める有識者の会」(中山達樹代表)は、今回の判決を不当と考える有識者が結集して設立されたもの。中山弁護士は、「本判決は証拠が不十分で、30年以上前の民事裁判に過度に依拠している」と指摘した。これで解散が認められるならば、多くの宗教法人が将来、解散の対象となりかねないと強調。また、「三権分立の理念に基づき、司法の独立と公正な審理が何よりも求められる」と訴えた。
証拠裁判主義の逸脱と法的問題点
証拠裁判主義とは、裁判の判断は明確な証拠に基づくべきだとする原則である。中山弁護士は判決文を詳細に分析し、「潜在的被害の存在」という推測を根拠に不法行為と認定したことは、証拠裁判主義の根本原則である実証責任に反すると批判した。さらに、2009年のコンプライアンス宣言以降の教団の取り組みや、近年の訴訟件数減少といった客観的事実が判決に反映されていないことを問題視した。

政府資料の信頼性に疑義—浜田聡前参議院議員の指摘
浜田聡氏は、解散命令の根拠となった文部科学省の資料について、国会で捏造疑惑が否定されなかった事実を明確に指摘し、「捏造が撤回されないのであれば、裁判所でしっかりと精査してほしい」と要求した。また、「解散命令請求の理由として2009年以前の事例が多く用いられているが、これらは時効が成立しているはずだ。その後の訴訟件数は激減しているにもかかわらず、解散命令を出すことには大きな問題がある」と述べ、裁判所の判断に懸念を示した。
偏向報道と世論誘導への警鐘—ノンフィクションライター福田ますみ氏
福田氏は、山上事件以降のメディアによる偏向報道と一部政治勢力の世論誘導が司法判断に影響を及ぼしている可能性を指摘した。「司法の独立性が揺らぎ、裁判所が社会的圧力に屈している恐れがある」と警鐘を鳴らし、事実に基づく公正な法的判断の重要性を強調した。また、家庭連合の信者が社会的に「いじめ」に遭い、偏見や差別に苦しんでいる現状があることも指摘し、「こうした理不尽な扱いは許されない」と強く訴えた。
拉致監禁問題と宗教間対話の促進—中川晴久キリスト教牧師の謝罪
中川晴久氏は、教会関係者約300名が家庭連合信者に対する拉致監禁問題に関与している事実を明かし、被害者に対しキリスト教会を代表して謝罪した。さらに、宗教間の偏見が信教の自由を脅かしているとして、教会全体での自浄作用と宗教間対話の促進を訴えた。
献金強要の実態とマインドコントロール論への批判—仲正昌樹教授
元信者の仲正昌樹教授は、「『地獄に落ちる』などの献金強要は経験上、見たことがなかった」と断言した。また、「社会に広まるマインドコントロール論は科学的根拠に乏しく、また、現役信者から話を聞かないのは公正とは言えない」と批判した。
非公開非訟事件の問題点—杉原誠四郎元武蔵野女子大学教授の指摘
杉原誠四郎氏は、解散命令が非公開の非訟事件として処理されたことに疑問を呈し、重大な行政処分は公開裁判で争われるべきだと指摘した。さらに、被害者証言の真偽検証が不十分なまま判決に用いられていることを批判し、「証拠裁判主義を否定する不当判決」と断じた。
宗教法人全体への影響と法的安定性の確保—水田真道の警鐘
水田真道住職は、「民法の不法行為を理由に宗教法人を解散することが許されれば、宗教界全体の法的安定性が損なわれる」と危機感を示した。「この家庭連合に対する解散命令を巡る裁判に対して、先入観と執着を捨てて、曇りなき眼で見ていただき、判断していただきたい」と訴えた。
長年の関わりに基づく証言—フマユン・A・ムガール氏
イスラム評論家のフマユン・A・ムガール氏は、40年以上にわたり日本で家庭連合と関わった経験から、「信者は敬虔で謙虚であり、犯罪に関与した者を見たことがない」と証言し、「裁判官には法と良心に基づく公正な判断を強く求めたい」と語った。
家庭連合に対する偏見と感情論の影響
会見では、司法やメディア、政治の各分野で家庭連合への偏見や感情論に基づく排除運動が進んでいる現状が問題視された。中川牧師は「信者が社会的に孤立し差別される現状は放置できない」と訴えた。
今後の方針—350名超の専門家が高裁に公正審理を要請
有識者の会は、国内外の350名以上の専門家の署名を集め、高等裁判所に公正な審理を強く求めている。また、宗教の自由の保障と法的安定性を守るため、社会に冷静かつ客観的な議論の促進を呼びかけている。
今回の記者会見は、旧統一教会に対する解散命令の司法判断および社会的扱いに関して、専門的かつ法理的視点から問題提起を行った重要な機会である。宗教法人の解散という憲法上の重大事案に関し、法の下の平等と公正な裁判手続きの堅持が社会的に強く求められている。今後の高裁審理は、信教の自由および民主主義の根幹を問う歴史的判断として、国内外の関心を集めることが必至である。


