米トランプ大統領就任演説

「信仰と富、自由を国民に取り戻す」
「神の下の一つの国民、一つの家族」を強調

 1月20日(米国時間)、米国の第47代大統領にドナルド・トランプ氏が就任した。米国第一主義を掲げ、過激な言動が批判を浴びることも多いが、就任演説では信仰や自由の価値を重視しながら国家的信頼を取り戻すことを強調した。 就任式に先立ってトランプ夫妻は、伝統に則って聖公会の教会で礼拝を捧げた。
 その後、トランプ氏は連邦議会議事堂の円形大広間で就任式に臨み、ロバーツ連邦最高裁長官の立ち会いのもと、宣誓を行った。
 就任演説でトランプ大統領は、「この日からわが国は再び繁栄し、世界中で尊敬されるようになるだろう。私は米国第一主義を貫く。最優先事項は、誇り高く、繁栄し、自由な国をつくることだ」と述べた。
 続けて、「今日、政府は信頼の危機に直面している」と指摘。長年にわたる急進的で腐敗した体制によって市民から権力と富が搾取され、社会の支柱が破壊されているが、政府は国内の危機にも、海外の破滅的な出来事にも対応できていないと批判した。さらに、「われわれの公衆衛生システムには世界のどの国よりも多くの予算が費やされているが、災害時に役に立たない。教育では、教師は子供たちが自らを恥じ、自分の国を憎むよう教えている。われわれが必死に子供に愛を与えようとしているにもかかわらずだ」と従来の政策の問題点を指摘した。
 そして、自身が大統領に選ばれたことは「信仰と富、民主主義、そして自由を国民に取り戻すためだ」として、課題に取り組む決意を示した。
 また、昨年のペンシルベニアでの暗殺未遂に言及し、「米国を再び偉大にするために、私は神に救われた」「だからこそ、私たち愛国者による政権の下、尊厳と権力、強さをもってあらゆる危機に対処するために日々働く。あらゆる人種、宗教、肌の色、信条の市民のために、希望と繁栄、安全、平和を取り戻すために目的意識とスピードをもって行動する」と強調した。
 また、この日がキング牧師の記念日(1月の第3月曜日)に当たることにも触れ、「彼の栄誉を称え、彼の夢を実現するために私たちは共に努力する。私たちは祖国を忘れず、憲法を忘れず、神を忘れない」と述べた。
 共和党が昨年まとめた政策綱領「20の約束」でも、7番目の項目で「憲法、権利の章典、基本的自由(言論の自由や信教の自由など)の保護」を謳っている。
 トランプ大統領は、就任後に移民対策をはじめ前政権の政策を変更する大統領令に署名しているが、この日の演説では「米国の完全な復興と常識の革命を始める」と常識の範囲で政策を打ち出すと述べ、「法の支配の下で、公正、平等、公平な正義を回復する。そして法と秩序を取り戻す」と訴えた。
 さらに、「公私のあらゆる場面で人種とジェンダーを社会的に持ち込もうとする政策も終わらせる。白人と有色人種を区別しない、能力主義の社会を築く。政府の公式方針として、性別は男女の二つのみとする」と強調した。多様性、ジェンダーに関する前政権の施策に対しては国民から行き過ぎに反発する声もあがっており、これに応えた形だ。
 また、自らは平和を構築する者になりたいとして、前日に中東で人質が家族の元に戻り始めたことを喜び、米国も最も尊敬される国としての地位を取り戻すと述べた。
 続いて建国の歴史にも言及し、「米国民は、未開の荒野を何千キロも突き進んだ。砂漠を横断し、山を越え、多くの危険に立ち向かった。奴隷制度を終わらせ、何百万もの人々を圧政から救い出し、何十億もの人々を貧困から救い出した。わが国は権利と自由のために全てを捧げた何世代にもわたる愛国者たちによって築かれてきた」と述べた。
そして、「われわれは神のもとの一つの国民、一つの家族、一つの栄光ある国家だ。子供のために夢見る全ての親たち、そして将来を夢見る全ての子供たちへ、私はあなたたちと共にいる」と述べた。
 最後に、「近年、わが国は大きな苦難に見舞われたが、この国を取り戻し、再び偉大な国にするつもりだ。思いやりと勇気に満ちた他に類を見ない国になる。私たちの力は全ての戦争を止め、怒りと暴力で予測不可能だった世界に、新たな団結の精神をもたらすだろう。米国は再び尊敬され、あらゆる宗教、信仰、善意の人々からも称賛されるだろう」「勇敢に立ち上がり、誇りを持って生きて、大胆な夢を持つ。未来はわれわれのものであり、黄金時代は始まったばかりだ。米国に神のご加護を。ありがとう」と演説を締め括った。
 米国では宗教の影響力が増しているとの指摘もある。宗教の観点から米国とトランプ政権の今後に注目する必要がある。

(就任演説はThe White Houseのウェブサイト を参照)