神道禊教年頭特別祈願祭

違う世の中が動き出す転換の年

御教えの御取次(講話)を行う坂田安弘教主管長=1月2日、東京都中央区の神道禊教東京本部


 1月2日、神道禊教(坂田安弘教主管長)で年頭特別祈願祭が斎行された。斎主と上席神職のみで奉仕がされ、門中は全国各地からオンラインで参拝した。年頭特別祈願祭は正月2日に御教祖神・井上正鐵翁の「先祖の宮へも参らぬは迷いの甚だしきなり」との教言を守り「門中の初詣」と銘打って斎行している祭りで、祭典後の御教えの御取次(講話)の場では、今年の年運の説明および一年の「弥栄への指針」(守るべき教え)が伝えられる。
 午後1時、太鼓の音が響き祭典が開式。禊祓詞および三種祓詞を唱和、修祓の儀、拝礼の儀、献饌の儀と続き、斎主が祝詞を奏上。一切成就祈願入魂の儀が行われた。続いて斎主が玉串を奉り拝礼。撤饌の儀、式の修めの拝礼の儀と続き、門中誓詞(ちかいのことば)を斎主、祭員と共に参列者が唱和し、年頭特別祈願祭は滞りなく修められた。
 続いて、坂田教主が御教えの御取次を行った。講話の要旨は次の通り。
 皇紀2685年令和7年、乙巳の年が明けた。年頭に当たり、皇室の弥栄と我が国の繁栄、そして国家国民の安寧を心よりお祈り申し上げる。私にとっては管長職継代に任じられてから50年という大きな節目の年を迎えた。
 本年も暮から正月2日の年頭特別祈願祭まで、5日に亘る断食聖行を行った。御教祖神は「救世済民・叢生安寧」を請願に掲げ立教された。「教祖の足跡を踏み行うこと」が当代教主の使命だから、三宅島での御教祖神の雨乞断食修行を毎年行うことも我が使命と確信し、毎年おつとめをさせて頂いている。その中に天地人の三気を以って、神明からお伝え頂いた「弥栄への指針」をお伝えするのが、本日のこの御教えの取次である。
 本年、天は「乙」という意思を持って動き、その「気」によって私たちは活かされる。本年は、因習や狎れ合いを打破して問題解決に向けて一層の努力と邁進をしなければならない年運だ。如何なる抵抗があっても革新をすすめていくことが大切な主題となるだろう。
 地の気は「巳」で、次世代に向けて新たな命が誕生しようとしている形である。来る新しい時代のあるべき姿を考え、新たなる創造へ動き出す時だ。そこで天と地の気を統合すると、「乙巳」は外圧をはねのけて改革創造の歩みを進めるためには、従来の誤った因習的生活との訣別が必要で、歩みよりや妥協は一切許されず、ごまかしの生活に見切りをつける時が来たと言える。
 人の気である「二黒土星」は、慈愛の心を持つ大地の母の気で、漸進と育成の星だ。誘惑や困難に負けず腰を据え、実力を蓄えることが開運発展の鍵となるだろう。踏ん張りどころの一年である。
 この天地人の三気を統合した本年の気運は、「復活と再生」、脱皮のエネルギーが満ちた年となり、精神的にも肉体的にも強さが必要な転換の節目の年と言える。過去の反省を踏まえて、正確に現状を把握して、今後の在り方を考えるべき1年となる。過去の乙巳の年に起こった出来事には、大化の改新(645)、壇ノ浦の戦い(1185)、日本海海戦(1905)、イザナギ景気(1965)がある。これまでの出来事からそれまでとは違う世の中が始まり動き出す年であることが見えてくるだろう。
 また、「努力を重ねて安定した基盤を固める」年であるとも言える。長期的観点で取り組むこと、しっかりと地に足をつけること、コツコツと地道に努力を積み重ねること、そして周囲の協力や調和が重要である。安定や育成を大事にすると一年間の運気を味方にすることができる。また、家族との時間を大切にし、家庭内の問題を解決することも運気を上げる重要な要素となる。
 神明から頂戴した本年の「弥栄への指針」は、①「謙虚さを大切に礼儀礼節を常に忘れず」②「挑戦する気概を保つ」③「生きる力と活かす力 活かされる喜び」を土台として、①「共感と共鳴の仲間をつくり、慈愛の心で漸進」②「与えられた事柄を全うし、やるべきことに集中」③「過去との決別、ごまかしの生活に見切りをつけよ」である。本年一年の間、身乃真柱としていただき、神道禊教の御教えの尊きことの証を世に示して頂きたいと願う。