建国記念の日奉祝中央式典

大祓詞で建国精神を回顧/明治神宮会館

主催者挨拶をする大原康男会長

 令和5年、皇紀2683年の「建国記念の日奉祝中央式典」(主催=日本の建国を祝う会、会長=大原康男氏)が2月11日、東京都渋谷区の明治神宮会館で開催された。約500人が参加し、11か国の特命全権大使を含む22か国の在日外交団も参列。第一部の式典に続き、第二部では西岡和彦・国学院大学教授が『大祓詞」と建国の精神』と題し記念講演、第三部の奉祝記念和太鼓演奏では、清瀬上和太鼓保存会が和太鼓演奏『戦龍』を披露した。表参道では神輿と首都圏の大学ブラスバンド・子供鼓笛隊らが奉祝パレードし、約2千人が参加。沿道の人たちを楽しませた。
 午後1時、柴田勤副会長の開会の辞で奉祝中央式典が始まり、橿原神宮遥拝、国歌斉唱の後、主催者を代表して大原康男会長が挨拶した。
 「神武天皇は2683年前の2月11日、大和国の畝傍山の東南の橿原の地で、天皇の御位にお就きになられた。以来この日は、我が国の基を固められた神武天皇のご事績を仰ぎ、日本人の民族精神を思い起こす日となって久しい。近隣諸国の軍事的脅威が高まる中、自国の安全と自らの生命を守るには、防衛体制の抜本的見直しと憲法改正を視野に入れた法整備が急務だろう」と述べ、政府主催の奉祝式典が行われるよう要望した。
 来賓祝辞に移り、井上信治・自民党幹事長代理は「昨年、本土復帰50周年を迎えた沖縄を訪問された両陛下は戦没者慰霊とご遺族との懇談に臨まれ、お一人お一人にお声をおかけになられた。両陛下の温かい御心に尊崇と敬愛の念を強くする」と述べ、日本維新の会副幹事長の石井苗子・参議院議員は「日本は自然災害に加えて病原菌やウイルスにも悩まされ、神社を中心に災害を未然に防げるようお祓いを続けてきた。日本人が紡いできた皇室との絆を深めていくことも国会で議論する重要なテーマだ」と語った。最後にマルタ共和国のアンドレ・スピテリ特命全権大使が「他者への尊敬、勤勉さ、卓越性を目指す強い決意など、日本を偉大にしてきた価値観を今後も堅持し続けていかなくてはならない。建国記念の日は未来への行動を呼びかける日でもある」と祝辞を述べた。
 岸田文雄首相はメッセージで「長い歴史の中で我が国は幾度となく大きな困難や試練に直面した。先人たちは、その度に勇気と希望をもって立ち上がり、幾多の奇跡を実現してきた。『建国記念の日』が、我が国の歩みを振り返りつつ先人の努力に感謝し、さらなる日本の繁栄を希求する機会となることを切に希望する」と述べた。
 次いで、聖心女子大学2年の松浦史帆氏が決議文を朗読し、満場の拍手で採択され、大原会長と栗田副会長から自民党の井上幹事長代理と日本維新の会の石井副幹事長に手渡された。紀元節の歌の斉唱。百地章日本会議常任理事による聖寿万歳の後、小柳志乃夫理事が閉会の辞を述べた。
 第二部では西岡和彦・国学院大学教授が「『大祓詞』と建国の精神」と題し記念講演。内容の要旨は次の通り。
 大祓詞は前半で建国の精神を明示し、我が国のあるべき姿「安国」という言葉が3度出てくる。「豊葦原水穂国」の「安国」化を、天上の高天原から降臨された皇御孫命と、地上で生まれ育った日本人とに課したと考える。天皇の大命を各人が責任をもって果たすことが、奉仕事(政事)であり、その成就のため、神を祭り、奉仕することが祭事である。
 大祓詞を読み上げることで、日本人は「建国の精神」を振り返り、「建国の理念」がいつの世も繰り返し実現できるよう、大祓を行ってきたのである。
 第三部では、太鼓の音色を郷土芸能として伝える活動をする「清瀬上和太鼓保存会」が勇壮闊達な和太鼓の演奏『戦龍』を披露し、観衆を魅了した。