新年のご挨拶  本紙代表・石丸志信

2026年1月10日付 831号

 

 令和8年丙午(ひのえうま)の年を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年中は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。皆様方におかれては、国家の安寧、衆生の救済、世界平和の祈りを神仏に捧げ、厳粛なる心で新年を迎えられたことと思います。

 昨秋、鹿児島を訪問する機会がありました。この地は16世紀半ば、最初のキリスト教宣教師フランシスコ・ザビエルが渡来した地です。西洋と東洋が邂逅し本格的な交流が始まった時代です。新しい宗教伝統は、いち早く国内に広がりましたが、半世紀後には国家的な迫害が厳しくなり、多くの殉教の血が流れました。それから三世紀に渡る弾圧の後、彼らが信仰の自由を得たのは明治期になってからでした。

 明治時代末期、鹿児島市内に石造りのザビエル記念聖堂が建立されました。およそ40年後に空襲で焼失し、戦後、ザビエル渡来400年記念の年に木造の聖堂に建て替えられました。さらに50年後、現在の聖堂が献堂されたのです。

 聖堂の向かい側にザビエル記念公園があり、最初の聖堂の一部が保存されています。時代とともに姿形は変わっても、人類救済と世界平和に対する宣教師たちの崇高な志は綿々と受け継がれてきたことを示しています。

 その場に立つと、信仰に生きた先人たちの思いが去来します。彼らはおよそ480年を経たこの国とそこに生きる私たちをどのように見つめているでしょうか。静かに問いかけるのです。

 また、南九州市の知覧特攻平和会館にも訪れました。先の大戦の末期、陸軍特攻隊の出撃基地となったこの地に、戦後およそ40年を経て平和を願う記念碑が建てられました。ミュージアム内には戦史資料や遺品、加えて全ての隊員の遺影が展示されています。この17歳から25歳の青年は、決して狂信者ではなく、純粋に家族の安寧を思い、国の平和と繁栄を願いながら自らを捧げた者たちでした。そのまなざしは来訪者をまっすぐに見つめていました。

 彼らの遺書には、師への敬意と母親に対する感謝、妻へのねぎらいとわが子への切実な願いが綴られていました。高潔さと教養の高さをうかがわせる美しい筆跡にも驚かされました。国を護るためその貴い生命を捧げた青年たちの胸に抱いた願いは、今を生きる私たちに届いているでしょうか。彼らの目には、今日の日本と世界はどのように映っているでしょうか。立ち止まり、そう問いかけてみるのです。

 人知を超えた至高の存在を仰ぎ見、信仰のために生命を捧げた先人たち、国のために生命を捧げた先人たちに感謝と畏敬の念を抱きながら、過去の歴史と現在に対して大いに責任を感じます。

 また、今後の未来に対しても私たちは重い責任を担っていることを受け止めざるを得ません。今の私たちが為していることが、この国に生まれ来る子や孫たちの自由と幸福のため、さらに平和な世界の礎石となり得ているのか。彼らから問われているように思うのです。それは、必ずや、彼らが私たちの生きた時代を振り返り、私たちが為したことを検証する時がくるからです。

 赤き火を象徴する丙午の年を迎え、熱き情熱と霊性に満たされて、皆共に手を携え、自由と幸福と平和な世界への扉を開く一年となりますことを祈念しております。

 皆様のご健勝とご多幸を祈りつつ年頭の挨拶に代えさせていただきます。