第59回教誨師中央研修会/法務省
特性に応じた矯正、農福連携など共有

=8月28日、東京都千代田区の法務省
8月28日と29日の両日、東京都千代田区の法務省で第59回教誨師中央研修会(主催・公益財団法人全国教誨師連盟)が開催された。全国から教誨師として委嘱された各宗教の教誨師と聴講生が74名集い、刑務所に収監されている受刑者の教誨についての研修が行われた。
28日午後の開会式では、最初に同連盟の竹岡郁雄副理事長が挨拶した。国歌斉唱の後、同連盟大谷光淳総裁は式辞で、「人間性の回復を図って、改善更生を促すという教誨師の責任は今後ますます重要なものとなってくるだろう。矯正行政の施策や今後の方向性、矯正施設、教誨活動のあり方や動向について理解を深め、研鑽に努めていただきたい」と述べた。
令和7年度教誨事業功労者表彰式典では、法務大臣表彰、公益財団法人日本宗教連盟理事長表彰、公益財団法人全国教誨師連盟総裁表彰が行われ、受賞者を代表して南荘宏氏が謝辞を述べた。鈴木馨祐法務大臣(高村正大法務副大臣代読)、日本宗教連盟の日谷照應理事長、矯正協会の藤本哲也会長がそれぞれ祝辞を述べ、全国教誨師連盟藏田秀樹副理事長の閉会の言葉で締めくくった。
続いて行われた研修会では、最初に法務省矯正局長の日笠和彦氏が「矯正の現状」をテーマに講演した。
日笠氏はまず、刑法が改正されて「拘禁刑」が創設されたことに言及。改正前の懲役では作業が大前提だったが、拘禁刑になることで各々の特性に応じたものになり、各々のニーズによって矯正を行っていくようになったことをあげ、「改善、更生をはかるのが拘禁刑の目的である」と述べた。
そのため共通する処遇類型、特性に応じたグループ分けが行われるよう見直された。作業はその人の更生に必要だから行ってもらうという考え方で、「目的と意義が明確になるよう」名称の変更をしたという。
また、オープンダイアローグの手法や考え方を取り入れた「対話実践」を推進していることを紹介した。「対話実践を行うとき、指導する側とされる側という立場ではなく、同じ人間として対し、同じ目線で話す。刑務官が受刑者を見る目には福祉的な視点が必要で、彼らの問題性を解消していく。そのためには支援というマインドが必要だ」と強調した。
次に元農林水産省事務次官で日本農福連携協会会長理事の皆川芳嗣氏が、障害を持つ人など福祉の対象者が農業に携わる農福(農業と福祉)連携について説明し、矯正行政との関係性についても言及した。
「農業の仕事は多岐にわたっているので、色々なニーズに合わせられる。今、障害者の為に地道に作り上げてきた経済を、国全体として推進していて、その推進に法務省にも入ってもらっている。犯罪した者に就労意欲を持ってもらうための農業、生物を育てはぐくむというプロセスを多くの矯正施設に取り入れてほしい」と語り、少年院から農福に携わり、今では農福のリーダーとなっている対象者の事例などを紹介した。
最後に同協会副会長理事の村木厚子氏が「居場所と出番をつくる〜農福連携の可能性〜」というテーマで講演した。村木氏は「働くのが最高の福祉だ。働くことによって喜びを感じ、自信を持てるようになる」と農福連携の意義を説明し、「働き手がいない弱者である農家と弱者である障害者が一緒になることでパワーアップする」と力説した。
また、400年続く農家が特別支援学校の卒業生に働いてもらうことで、事業が成功し経営の規模が大きくなった事例、少年院を出た人が外国人と一緒に働くことによって、自分自身も働く意欲が増している事例などを紹介した。
2日目はグループワークが行われ、全体会で討議内容が発表された。


