信教の自由と人権シンポジウム/ICRF主催

「ウイグルの宗教共生の精神と文化」
現代に問う「共生の意味」

6月13日に都内で開催された「信教の自由と人権シンポジウム」

 6月13日の午後、ICRF(国際宗教自由連合)主催、宗教新聞社後援による「信教の自由と人権シンポジウム」が都内で開催された。主題は「ウイグルの宗教共生の精神と文化」である

 昨年の同会主催のシンポジウムでは、チベット、モンゴルと共に、ウイグルの人々が信教の自由と人権を侵害されている現在の悲惨な実態を扱った。今回は、信教の自由を訴えながら、彼らが守りたい文化とは何かに焦点をあてた。
 伊東正一ICRF委員長の主催者挨拶の後、ウイグル文化センター理事長のイリハム・マハムティ氏が本シンポジウムの主題で講演。「中央アジア、シルクロードの主要拠点に生きるテュルク系民族のウイグル人は、マニ教、仏教、イスラム教と時代とともに世界宗教を受容していったが、他の価値観、宗教観を否定することなく共生してきた。宗教の違いを超えて人々が学び合い、互いの文化を尊重してきた歴史は、私たちがこれからの社会で大切にすべき価値を教えてくれる」と語った。
 また、前キルギス共和国大統領経済特別顧問で、中央アジア・コーカサス研究所所長の田中哲二氏が「中央アジアとシルクロード」の主題で講演した。氏は中国の少数民族支配の課題を指摘し、「中国が世界から信頼され尊敬される大国になるために必要なのは、世界を納得させる世界の将来像を提示することにある。当面の『一帯一路』構想の到達点として『人類運命共同体』は、『中華民族が頂点に立つ共同体』なのか、『多民族対等共存や文化の多様性が担保された共同体』なのか、『全く異なった共同体』なのか、周辺中小国は具体的な説明を期待している」として、「『一帯一路』構想が『現代版シルクロード』を標榜するのであれば、『古代シルクロード』の形成を担ったソグド族、ウイグル族、モンゴル族等の少数民族圏により多くの経済的利益が及ぶことが期待されている」と述べた。
 講演後、2人の講師に加えて伊東正一委員長が登壇し、パネルディスカッションを行った。
 伊東委員長は「宗教共生の精神を持つウイグル人が中国共産党から弾圧を受け、今どういう気持ちでいるのだろうか」と問うた。イリハム氏は「共産党は対外的には宗教の自由があると宣伝してきた。80年代はまだしも、89年の天安門事件以降一党独裁が強化された。2001年の9・11を契機にイスラム教徒=テロリストと断定して弾圧を強めた。2017年以降さらに厳しくなり、イスラム教徒のアラビア語の挨拶さえ許されない状況にある」と答えた。
 参加者からの「ウイグル人が宗教共生の精神を持つことができたのはなぜか」との質問に、イリハム氏は「他人のことを優先し、自分の考えを他人に強要しないという精神で生きてきたからだ」と答えた。参加者からは、「中央アジア、およびウイグルに関して興味が持て、今後も学びを深めていきたい」といった感想が聴かれた。
 また、パネルディスカッションの前に杉原誠四郎・元武蔵野女子大学教授を迎え、「宗教新聞」4月号に杉原氏が寄稿した「旧統一教会への解散命令をどうみるか」について解説の時間を持った。氏は宗教法人法の趣旨からみても、法人の解散請求に至るプロセスに誤りがあるとの意見を述べた。
 閉会の辞では、ICRF副委員長の東和空・聴行庵住職が、「田中先生は刻々と変わる二大大国の影響をリアルタイムで見ている方。イリハム氏の話から、仏教や儒教などが混在するカンボジア文化がベトナム戦争後に毛沢東思想に塗り変えられたのを思い出した。『負の歴史』を日本人は優先して学ばなければならないのではないか。日本はどうするか、左右を見るだけでなく、自ら知恵を出していかないといけない。そんな学びを頂いた」との所感で結んだ。