令和8年全国戦没者追悼式

天皇陛下 心から追悼の意

8月15日に行われた全国戦没者追悼式でお言葉を述べられる天皇陛下


 終戦から81年、令和8年8月15日に東京都千代田区の日本武道館で全国戦没者追悼式が開催された。天皇皇后両陛下の御臨席のもと、高市早苗内閣総理大臣、森英介衆議院議長、関口昌一参議院議長、今崎幸彦最高裁判所長官、各国務大臣、都道府県代表、関係団体の代表ら合わせて約4200人が参列し、約310万人を数える全戦没者に追悼の誠を捧げた。
 午前11時50分過ぎに開会が宣言され、参席者全員が起立して両陛下を迎えた。国歌斉唱に続き、高市総理が式辞を述べた。
 高市総理は、先の大戦で約310万人の同胞の命が失われたことをあげ、「今日の我が国の平和と繁栄は、戦没者の皆様の尊い命と、苦難の歴史の上に築かれたものであることを、私たちは決して忘れない。改めて、衷心より、敬意と感謝の誠を捧げる」と述べた。
 また、「戦後、我が国は一貫して、平和を重んじる国家として歩みを進め、世界の平和と繁栄に貢献するために力を尽くしてきた。戦争の惨禍を、二度と繰り返させない。歳月がいかに流れても、この決然たる誓いを、世代を超えて継承し、貫いていく」と語った。
 そして、「日本は、各国が直面している様々な課題の解決に向け、重要な役割を果たし、インド太平洋の輝く灯台として、頼りにされる国になる。今を生きる世代も、未来を生きる世代も、希望を持てる日本を、安全で安心して暮らせる社会を、創り上げていく」と決意を述べた。

式辞を述べる高市早苗首相


 両陛下は標柱の前に進み深く一礼された。正午の時報に合わせ一分間の黙祷を捧げられ、両陛下に合わせ、参列者が同様に黙祷を捧げた。
 天皇陛下は次のようにおことばを述べられた。
 「本日、『戦没者を追悼し平和を祈念する日』に当たり、全国戦没者追悼式に臨み、さきの大戦においてかけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い、深い悲しみを新たにいたします。
 終戦以来81年、人々のたゆみない努力により、今日の我が国の平和と繁栄が築き上げられましたが、多くの苦難に満ちた国民の歩みを思うとき、誠に感慨深いものがあります。戦中・戦後の苦難を今後とも語り継ぎ、私たち皆で心を合わせ、将来にわたって平和と人々の幸せを希求し続けていくことを心から願います。
 ここに、戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ、過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、全国民と共に、心から追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」
 遺族代表として、父親の陸軍准尉・金森伊作氏を亡くした金森武士氏が追悼の辞を述べた。
「昭和17年2月、父は生まれて一週間目の私を残して出征され、20年5月に31歳でフィリピン・ルソン島で戦死された。私も父のことが知りたくて、32歳の時に遺骨収集派遣団に参加した。今も海外では戦没されたご遺骨の半数以上が眠っておられ、一日も早くの御帰国を願うばかりだ。空襲では、母親におんぶされて郊外に逃げ、空が花火のように見えた記憶が鮮明に思い出される。家庭を守り、私を何不自由なく育ててくれた祖母や母には感謝しかない」と自身の体験を語った。
 そして「世界各地では多くの紛争が続いており、私たちのような犠牲者が後を絶たない。一日でも早く世界に平和が訪れることを願うばかりだ。今日の平和は、国の礎となられた英霊の皆様の尊い犠牲の上にあることを忘れてはならない。このことを次の世代へと語り継いでいくことこそが、我々に課せられた使命である」と遺族の思いを述べた。
 献花に移り、高市総理、衆参議長、遺族代表など参列者の代表が戦没者に黄色い菊を捧げて、式典は終了した。