「孤立」「孤独」と内村の言葉
2026年5月10日付 835号
内閣府が先月、「令和7年孤立死者数の推計」を公表した。警察庁のデータをもとに、昨年1年間に孤立死した人を2万2222人と推計した(発見されるまで8日以上経過したことを目安にしている)。男女別では男性が1万7620人と全体の約8割を占めている。年代別では最も多いのが「75〜79歳」の4329人。次いで「70〜74歳」の4047人、「65〜69歳」の3173人だった。
「孤立」「孤独」が増える要因は、未婚化の拡大、家庭や地域のつながりの希薄化といったことが指摘される。
また、若い世代のほうが高齢者より孤独を感じているというデータもある。
厚生労働省が2023年に行った『少子高齢社会等調査検討事業』の調査(2023年1月、20代から80代の約3000人)では、「孤独を感じることがある」と答えているのは45%だが、男性では20代が46・5%、30代が57・1%、40代が51・3%であるのに対して、60代以降は3割台だった。実際、不安や悩みを相談する相手がいないという人も少なくない。
ちなみに、厚労省の調査は社会参加活動と孤独感の関係に注目している。過去1年間に「PTA・自治会・町内会などの活動」「まちづくりに関するボランティア活動」など社会活動に参加している人では6割超の人が「孤独感がない」と答えているのに対して、活動していない人では50%だった。
孤立あるいは孤独を防ぐために、地域の居場所づくりなどの対策はもちろん必要である。それと共に、結婚、あるいは家庭や地域のつながりについて、その意味を再度考えるべきではないか。
そして、結婚や家庭、地域のつながりについては、寺院や教会が果たしてきた役割も大きい。
例えば、内村鑑三が『聖書之研究』の中で「家庭の建設」という興味深い一文を記している。
「家庭とは神より愛を受けた者が其愛を相互に交換する所であります。是は其れ故に教会(真個〈ほんとう〉の)の一種であります、たヾ家庭に在ては愛が小数者の間に限られるのと、霊魂の愛に加ふるに肉体の天然自然の愛を以てするの差違があるまでヾあります、教会を縮めたものが家庭でありまして、是を拡げたものが国家であります、家庭は国家の基本であると云ひますのは是れは国家の単位である、亦(また)縮画(しゅくぐわ)であり、亦小模範であるからであります」(『聖書之研究』38〜41号〈明治36年〉「家庭」の一文:『内村鑑三全集11』岩波書店より)。
「教会を縮めたものが家庭であり、拡げたものが国家である」「家庭は国家の単位であり、小模範である」というように、信仰を基本にした「家庭︱教会︱国家」の深いつながりが示され、考えさせられる(別の箇所では「幸福なる家庭…之は実に神と人類とのために自己を忘れて始めて天より授けらるヽものであります」とも述べている)。
また、地域のつながりという点では、例えば地域の祭りに参加することで、その地域の歴史や伝統、さらには宗教や文化を受け継ぐ立場に立つことができる。
こうしたことが、孤立、孤独を改善する一つの力になるのではないか。


