学校の特別活動への評価と地域社会、宗教

2026年4月10日付 834号

  『小学校〜それは小さな社会』(山崎エマ監督)というドキュメンタリー映画が話題になっている。
 東京・世田谷区にある小学校の日常を描いたもので、子供たちが教室の掃除や給食の配膳、学級会などに取り組む様子を紹介している。日本の小学校に通った人であれば誰もが経験したことだ。
 こうした集団での活動は「特活(特別活動)」として教育課程に位置付けられている。
 もともと海外では日本の教育に対する関心は高いが、責任感や協調性、社会性などを身につける日本の教育制度に反響は大きい。フィンランドでは「コミュニティづくりの教科書」と評価され、ロングランのヒット。エジプトでは「TOKKATSU(特活)」の公立小学校での導入を進めている。アメリカでは子供たちが学校で掃除をすることがないため、映画は「自分たちのことを自分たちでやる」姿勢を学ぶための最高の見本だと評価する声があるという(同映画のウェブサイトより)。
 特活は、教科と共に学校教育の柱である。その意味で学校という「共同体」は、学級や学校行事など集団活動を通して人格を形成する場であると言うことができよう。
 もちろん、社会性や協調性、自主性などの育成は学校だけでなく、家庭と地域社会の役割も大きい。「日本の小学校における集団性教育の背景には、歴史的な地域共同体の存在も大きいはずである」とも指摘されている(「日本の小学校における社会性教育をめぐって」宮田昌明・里見日本文化学研究所客員研究員、『国体文化』令和8年2月号)。例えば、運動会は町内会でも祭事などと並行する行事として、青年団や壮年団、老人会や子供会といった疑似家族的な集団によって行われている。宮田氏は「地域共同体の構成員を疑似家族的に再編し、会費を徴収して例年の行事として継続していく習慣は日本独自であろう」と述べる(前掲書)。
 また、別の事例として、岡山県総社市が十数年前から取り組む「だれもが行きたくなる学校づくり」は、いじめや不登校対策から始まったが、専門家に対応を任せるだけでなく、全ての児童・生徒が人として成長することを目指して、学校・教育行政・大学の連携、地域と学校、市内の各種団体との連携を重視している。こうした取り組みを通して、子供たちが人格的に成長し、地域もそのような社会に変わっていったという。「ビジョンを共有し、町ぐるみで教育を創造している」(同市ウェブサイト)取り組みである。
 では、こうした教育と宗教はどのように関係するだろうか。
 宗教は各々の人格形成と共に、地域社会を形成する力ともなる。「伝統的宗教集団はこどもたちに活動の場を提供し、青年宗教者は自ら学ぶ場を地域の人びととともに作っている。集団内で様々な経験を積むことで、宗教者としての実力をつけ、宗教集団の維持に貢献している」という(川又俊則・郭育仁編『次世代創造に挑む宗教青年』、ナカニシヤ出版)。
 これは次世代への信仰継承と共に、地域全体でより良い地域社会を築くという点で宗教の役割が大きいことを示しているのではないか。