スクリーン『メガロポリス』

天才建築家カエサル・カティリナ(左、アダム・ドライバー)と市長の娘ジュリア(ナタリー・エマニュエル)=『メガロポリス』 6月20日(金)IMAX®ほか全国劇場にて公開
配給:ハーク、松⽵ © 2024 CAESAR FILM LLCALL RIGHTS RESERVED

 『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』など数々の名作を世に送り出してきた巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が、40年以上にわたって温め続けた夢の企画『メガロポリス』が、ついにスクリーンに登場する。自らの私財を投じ、壮大な構想を映像化した本作は、現代アメリカをローマ帝国になぞらえた架空都市「ニューローマ」を舞台に、人類の永遠の課題である「理想社会」の実現を描いた壮大な叙事詩である。

 物語の主人公は、都市計画局の局長であり、天才建築家でもあるカエサル・カティリナ(アダム・ドライバー)。画期的な新素材「メガロン」の開発によりノーベル賞を受賞した彼は、すべての人が平等に暮らせるユートピア都市「メガロポリス」の建設を夢見ている。さらに彼には、時間を止めるという神秘的な能力も秘められていた。

 だがその理想に待ったをかけるのが、新市長に就任したフランクリン・キケロ(ジャンカルロ・エスポジート)。市の財政難を打開するため、巨大カジノ建設を提案し、カエサルと鋭く対立する。そんな中、市長の娘ジュリア(ナタリー・エマニュエル)は、カエサルとの出会いを通して彼の理想に共鳴し、やがて心を通わせていく。

 しかし、カエサルの背後には、一族であるクラッスス家の陰謀が渦巻いていた。親戚のクローディオ・ブルケル(シャイア・ラブーフ)は、フェイク動画を用いた策略で彼を陥れ、失脚させようと画策する。ジュリアの尽力により彼の潔白は証明されるが、陰謀はさらに深まっていく。

 やがて街を巻き込んだ大災害が発生。老朽化した旧ソ連の人工衛星が地上に落下し、ニューローマは壊滅的な被害を受ける。この危機を機に、カエサルの理想都市構想が都市再建の柱として浮上する。ジュリアはカエサルの子を身ごもり、すべてが順調に進んでいるように見えたが、クローディオの手下にカエサルが銃撃される事件が発生する…。

 ローマ共和政末期の「カティリナの陰謀」に着想を得た本作は、古代と現代、政治と理想、科学と哲学を交錯させながら、理想世界の実現という壮大なテーマを描く。『メガロポリス』は、時代の閉塞感に立ち向かう人間の希望と葛藤を描いた、コッポラ監督渾身の一作である。

 6月20日(金)より、IMAXほか全国劇場にて公開。