第8回「世界平和 祈りの幕開け」

諸宗教が「平和の祈り」捧ぐ/神戸市

開会式で挨拶する杣浩二理事長=11月11日、神戸市内の会場


 11月11日、「世界平和 祈りの幕開け」が神戸市内のホテルで開催された。NPO神戸平和研究所(杣浩二理事長)の主催で毎年行われ、今年は第8回。ユダヤ教、イスラム教、キリスト教、神道、仏教などの伝統宗教、天理教や大本教など新宗教の代表、各国大使など約330人が参加した。
 同研究所は2010年に設立され、各宗教の共通点を学び合い、宗教のルーツは一つで、世界文化は共通であることを論証する出版物を日本語や英語で発表してきた。開会挨拶で杣理事長は、研究論文がヘブライ大学に認められ、ハーバード大学やオックスフォード大学など主要大学の連携機構であるボード・オブ・ガバナーズでの記念講演と表彰が決まったことを報告した。講演は来年6月、ヘブライ大学で行われる。
 研究の基礎になったのはモルドバ生まれのユダヤ人、アビグドール・シャハン教授の先行研究。同教授は著書『失われたイスラエル十部族の足跡』で、古代イスラエルと日本との共通性に言及している。杣理事長は、世界一長い文化を持つ日本に大きな使命があると感じ、宗教間の対話と協調による世界平和を目指してシャハン教授に師事してきた。昨年、英語で出版した『二つのシオンと二つのエルサレム』は、旧約聖書に記された「もう一つのエルサレム」が日本であることを論証している。
 続いて、来賓のルクムエダ・センダ駐日コンゴ大使、グレイソン・イシェンゴマ駐日タンザニア参事官、マルコ・プレンチペ在大阪イタリア総領事が紹介され、センダ大使は、「神戸は100を超える国籍の人々と、彼らが信仰する多くの宗教施設が共存する街。この地から理解と尊敬の精神が世界に広がることを願う」と祝辞を述べた。
 神戸平和研究所は、アインシュタインや湯川秀樹が提唱した世界連邦運動に協力している。同協会の谷本真邦理事が挨拶で同運動の歴史を紹介し、世界法を運用する世界機関の必要性を訴えた。 また竹岡誠治理事が「一般社団法人阿波ヤマト財団」の設立を紹介し、同財団が進める阿波古代史研究に期待を寄せた。

センダ駐日コンゴ大使(左)と杣理事長


 メインプログラム「平和の祈り」の時間では、ユダヤ教、イスラム教、仏教、神道、大本教、天理教、キリスト教の聖職者がそれぞれの伝統に従って祈りを捧げ、参加者全員で世界平和を願う祈りの時間を持った。
 次いで、表博輝理事による伝統神楽とバイオリニストのマウロ・イウラート氏による西洋音楽が融合したパフォーマンスが披露された。
 第二部では、イウラート氏のバイオリンと佐野まり子氏のピアノによる音楽が流れる中、会食が始まった。参加者が事前に寄せ書きした「祈りのメッセージ」の披露、笑いのセレモニー、世界共通語であるエスペラント、世界の宗教施設が集まる神戸北野まちづくりなどが紹介され、300人を超える参加者が国籍や宗教を超えて交流する場となった。「世界平和 祈りの幕開け」は、来年も11月11日に開催される。