世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者京都大会
戦争の根本解決は教育と宗教/北野天満宮
11月20日、京都市の北野天満宮で第43回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者京都大会が「戦争と平和│なぜ人類は戦いを止めないのか│」をテーマに、世界連邦日本宗教委員会の主催で開催された。
初めに、北野天満宮本殿で世界平和の祈りが神道式で執り行われた。斎主の神原孝至北野天満宮権宮司、祭員、実行委員が所定の座に着き、修祓、献饌に続き斎主が祝詞を奏上した。菅原道真公の和歌に曲と舞をつけた神楽舞「紅わらべ」が奉奏され、斎主に続き大会長の橘重十九北野天満宮宮司、神道代表の田中安比呂賀茂別雷神社名誉宮司、仏教代表の小森文道比叡山延暦寺副執行、教派神道代表の出口紅大本教主、新宗教代表の佐原透修立正佼成会総務次長、参列者代表の田中恆清石清水八幡宮宮司が玉串を奉って拝礼した。撤饌の儀、斎主一拝、祭典は滞りなく修められた。
開会式の祈りの言葉の時間では、三笠宮崇仁親王妃百合子殿下薨去に際して喪に服し、導師の一宮良範同委員会理事(念法眞教教務総長)の言葉「第43回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者京都大会に参加した私たちは、今心を一つにして祈ります」に答え、全員が「世界がほんとうに平和になり、すべての人々が幸せでありますように…」と唱和し、黙祷を捧げた。
副実行委員長の宍野史生神道扶桑教管長が「皇居遥拝、三条教憲奉唱のゆかりの地である風月殿で大会が開かれることを嬉しく思う」と開会の辞を述べ、大会長の橘重十九北野天満宮宮司は「神道は万物生命教で、そこから生まれた価値観の共存が世界の紛争や宗教間の争いを解決する。共存共栄の精神で平和が構築されることを願う」と語った。田中恆清実行委員長は「宗教委員会は昭和42年に設立され今年で57年目になる。これからも続けていくことが大切だ」と述べた。石倉寿一日本宗教連盟理事長は「真の平和の実現にむけて諸宗教間対話と平和への祈りを積み重ねることは、世界に『相互敬愛』の精神を示す機会となる」と、続いて世界連邦運動協会の大橋光夫会長のメッセージを木戸寛孝事務総長が代読した。
次に元国連事務総長特別代表の山本忠通氏が「国際社会の厳しい現状と課題」と題し以下のように講演した。
今の国際情勢は冷戦後一番厳しい。ウクライナとロシアの間にはNATOの拡張やロシア系住民などの問題があった。パレスチナではオスロ合意で二国家両立が合意されたが、ハマスはイスラエルを認めない。これらの問題の根本は理念の違いである。
2023年の紛争の死者数は過去最大で、国連の努力も機能していない。グテーレス事務総長は去年9月、「今の国際社会には大きな問題が三つある。国際法の無視、武力の行使、そしてダブルスタンダードだ」と演説した。戦後、築き上げてきた国際社会のシステムが機能しなくなっている。
戦争の理由は、経済対立に信条の違い、誇りで、人間の本性に根差している。「利害、信条、誇り」に対応するのがユネスコで、同憲章前文には「戦争は人の心の中で生まれるものであるから人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と書かれている。大事なのは、相手に対する敬意・尊敬・尊重・理解だ。戦争の根本問題である心の問題の解決には教育と宗教しかない。
その後、黒住宗道黒住教教主が大会宣言を発表し、満場一致で採択され、神原孝至北野天満宮権宮司が閉会の辞を述べた。