新しい憲法を制定する推進大会

国際秩序を守り支える日本へ

講演する島田和久元防衛事務次官=5月27日、東京都千代田区の砂防会館


 5月27日、東京都千代田区の砂防会館で新憲法制定議員同盟主催の「新しい憲法を制定する推進大会」が開催され、会場は各地からの参加者で満席に。島田和久元防衛事務次官とジャーナリストの櫻井よしこ氏が講演し、憲法改正への機運を盛り上げた。
 午後4時、柳本卓治事務局長(元参議院議員)の開会宣言で第1部が始まり、元防衛事務次官・安倍晋三首相秘書官の島田和久氏が「新たな危機の時代と日本国憲法」と題し次のように講演した。
 「日本国憲法の制定後、東西冷戦が始まり、アメリカの占領下、警察予備隊が作られた。その後独立した日本は、それを保安隊、自衛隊と名前を変え存続させた。経済力のない日本は日米安全保障条約を結びアメリカに軍事を依存したが、そのアメリカも国際秩序を維持する力と意志に陰りが見え始めた。2013年に安倍首相はワシントンで『日本を頼りにしてほしい』と演説した。4月に発表された岸田首相とバイデン大統領の共同宣言は『日米同盟は前例のない高みに到達した』と高らかにうたい、大統領は『日本以上に重要な同盟国はない』と語った。アメリカを下支えする日本になったのだ。権威主義国家が力によって国際秩序を塗り替えようとするのを止めるには抑止力が必要で、その一翼を日本が担っている。命がけで任務を遂行する自衛隊員のためにも憲法に自衛隊を明記すべきで、それにより世界は日本人の確固たる意志を知ることになる」
 続いて、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が「美しい日本の憲法を国民の手で」と題し講演した。
 「日本は世界の秩序を守るのにアメリカと共に働くと岸田首相は言った。そうであるなら、憲法改正を急がなければならない。それは日本人の気概を取り戻し、本当の日本人に立ち戻ることだ。5月3日の憲法改正に関する調査では、朝日新聞では53%、読売新聞では63%が憲法改正に賛成(必要)という結果だった。憲法改正をする気のない政党と話し合うより、国民の意図がもっと大事で、それは調査で明らかだ。政治は国民に判断を仰ぐチャンスを与えないといけない」と話した。
 第2部式典では、国歌斉唱の後、愛知治郎元参議院議員が「父、愛知和男の悲願は憲法改正の日を迎えることだったが、5月3日の憲法記念日の日に旅立った。新しい憲法を制定する日が来るのを祈念する」と開会の辞を述べた。
 麻生太郎自民党副総裁(同連盟名誉顧問)はビデオメッセージで「自民党は昭和30年11月の結党以来、憲法改正を党是としてきた。憲法制定から77年経ち、今の時代にそぐわず、足りないものは改正すべきだ。より良い国づくりのため力を合わせよう」と語った。
 岸田文雄総理大臣はビデオメッセージで「憲法改正は国民自らあるべき国の形を考え、政治に直接参加して、改革を実現する最大の機会だ。社会が大きく変化する今だからこそ、我々は政治の責任を果たさなければならない。憲法改正に向けて共に頑張ろう」と述べた。
 各党代表挨拶で、自民党の古屋圭司憲法改正実現本部長は「日本が世界から尊敬され、指導的な役割を果たし続けるためには、憲法を改正して将来への責任を果たさなければならない」と語り、公明党の北側一雄副代表は「衆議院の憲法審査会で最も議論され、論点が出そろっているのは緊急時における国会機能の維持で、国会がしっかり仕事ができれば国民の命と財産を守れる」と述べた。
 日本維新の会の三木圭恵国会議員団幹事長代理は「憲法審査会の中にいつまでも賛成しない人たちがいるが、国民の皆様は待っていると思う。多数決が民主主義の世界なので、一日も早く結果を示すのが国会の責務だ」と、国民民主党の玉木雄一郎代表は「もう議論は尽くされ、あとは決断するしかない。私たちと日本維新の会と有志の会で5会派の原案を作った。次のステージに進むべきで、憲法審査会は重大な局面を迎えている」と語った。
 各団体の代表挨拶があり、大会決議が満場一致で採択され、閉会した。