鶴岡八幡宮の節分祭/鎌倉市
鳴弦で邪気を祓う
2月3日、多くの参拝者に見守られ、恒例の節分祭が神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮(吉田茂穂宮司)で執行された。
今年は大紋衣装の年男と年女による豆撒きはせず、式典だけが行われた。午後1時、太鼓の音が鳴る中、修祓を終えた宮司・祭員が舞殿へ参進。宮司一拝、献饌の儀に続き祝詞を奏上した。八幡大神の力を分け与える金幣神事が執り行われ、玉串拝礼では宮司に続き氏子代表2名が玉串を奉って拝礼した。
撤饌の儀に続き、鳴弦の儀で使用する弓2張と矢数本が執行する2人の神職に手渡され、宮司一拝して節分祭祭儀は滞りなく修められた。
続いて、舞殿で「鳴弦(めいげん)の儀」が行われ、2人の神職が東西南北の四方に向かって弦を強く引き、一気に放って弦を鳴らし、その音で災いをもたらす邪気を祓った。
鳴弦の義は平安時代の始まりとされる。弓に矢をつがえずに弦を引き、音を鳴らす作法で、天皇の入浴、皇子の誕生、貴人の病気、雷鳴の際などに魔除けの儀礼として幅広く行われた。悪魔、邪気、けがれを祓うのが目的で、時代が進むにつれ貴族社会から広がり、鎌倉・室町時代には将軍家の子女誕生の折などにも行われていた。 後に高い音の出る鏑矢(かぶらや)を射るようになり、 「蟇目(ひきめ)の儀」と呼ばれている。