静寂に第74回みたままつり/靖国神社

コロナ終息の祈りも込め

九段の夜空を彩る3万の献灯

 靖國神社(山口健史宮司、東京・九段)の光の祭典、第74回「みたままつり」が7月13日から16日までの4日間開催された。昨年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となったが、本年は、新型感染症終息の祈りも込めて開催が決定。
 みたままつりは、境内に数多くの献灯を掲げ、戦没者のみたまを慰める夏祭り。昭和21年のお盆に長野県遺族会が境内で盆踊り大会を開催したのがきっかけで、翌22年から始まった。
 外苑参道の両側には約1万の大型献灯が並ぶ。夕刻になると一斉に灯が灯り、東京都心の夜空を黄金色に染めた。遺族、戦友、崇敬者、宗教団体などから奉納された献灯の一つ一つに奉納者の名前が墨書されている。内苑には全国から奉納された約2万の小型献灯が掲げられ、境内は幻想的な雰囲気に包まれている。今年も、内苑・外苑合わせて3万の献灯が掲げられた。
 例年ならば、期間中は連日、午前9時から午後8時半まで、能楽堂や参道で、日本舞踊、浪曲、民謡、語り部、雅楽、琉球舞踊、古武道、モダンダンス等各種奉納行事が続くところだが、本年はすべて中止。露店の出店もない。そのためいつになく静寂が保たれ、境内は厳粛な空気に包まれた。
 靖国神社では、参拝の混雑を避けるため、13~18日迄の6日間は閉門時刻を延長した。全期間中の参拝者数は内苑のみで約3万7000人。前回、令和元年には4日間で約14万1000人(内苑のみ)が参拝に訪れていた。都下、緊急事態宣言下のため減少したとはいえ、み霊を慰め英霊に感謝を捧げる参拝者は途切れることはなかった。7月13日から18日まで開かれた、期間限定夜間中庭参拝にも約3500人が訪れている。
 境内には、各界著名人による約300点の懸ぼんぼりと、有名俳人の献句、全国からの2000の献句から選ばれた預選句150句の献句ぼんぼりが掲げられた。懸ぼんぼり揮毫文は、崇敬者総代他、書家、画家、文学者、陶芸家、狂言師、茶道家元、俳優、女優、歌手、プロレスラーなど各界の著名人が多数名を連ねていた。