第54回全国神社総代会大会
奉祝気運の醸成、地域再生を
設立六十周年を記念する全国神社総代会の第五十四回大会が九月二十六日、熊本市の市民会館シアーズホーム夢ホールで開催され、全国から約千六百人の総代ら神社関係者が参加した。主催は全国神社総代会で、主管は熊本県神社総代連合会。中江岩戸神楽の清興、建築家・隈研吾氏の記念講演に続いて式典があり、神社功労者表彰、六十周年記念表彰があり、平成三十年度事業計画が報告され、大会宣言が採択された。来年は九月八日、石川県金沢市で開催の予定。
公演された中江岩戸神楽は、約二百七十年前から阿蘇市波野中江地区で続いている国の無形民俗文化財で、千四百年の歴史がある地元の萩神社の春と秋の祭りや阿蘇神社の七月の祭りで奉納されている。記紀神話を題材に、宮神楽、里神楽、久米舞などを取り入れ、鮮やかな色彩の衣装で、笛と太鼓に合わせてダイナミックに踊る。披露されたのは「第二十座 柴曳」で、天岩戸を開く前に天児屋根命が天の香具山の榊を根こそぎにして岩戸の前に奉るもの。熱演に会場から大きな拍手が送られた。
木材をふんだんに使う新国立競技場を設計した隈研吾氏は、「森の時代」と題し記念講演。隈氏は「木はこの十年、建築の世界で注目されている。二十世紀をコンクリートの時代とすると、二十一世紀は木の時代になるのではないか。コンクリートが現れたのは約百年前で、それまでは長く木の時代だった」として、木を使った建物を映像で紹介しながら、森と和する日本文化の素晴らしさについて語った。
式典に移り、全国神社総代会の三村明夫会長は、西日本豪雨や北海道地震で被災した人たちへの見舞いの言葉、本大会を主管した熊本県神社総代連合会への謝辞に続けて次のように式辞を述べた(代読)。
「この六十年で、人口の大都市集中、地方の過疎化、少子高齢化により地域の衰退が懸念されるようになった。今こそ本会結成の先人に思いを馳せ、全国四十万総代の力を結集し、祭祀の厳修と振興により共同体意識の回復を図り、敬神崇祖の伝統を継承し、神社本庁はじめ諸団体との連携で諸課題に応えていきたい。本日、表彰を受ける方々にはその功労に深く感謝し、今後も氏子崇敬会の基幹として活躍を期待申し上げる」
六十周年記念表彰に続き、鷹司尚武神社本庁統理、小松揮世久神宮大宮司、打田文博神道政治連盟会長、蒲島郁夫熊本県知事、大西一史熊本市長、有村治子参議院議員から来賓祝辞が述べられた。
受彰者代表の謝辞に続いて平成三十年度事業計画が報告された。実践目標は①皇室敬慕の念の涵養と、神宮崇敬の念の醸成を図るための活動に努める、②祭祀の振興と鎮守の森の保護育成を通じ、青少年の健全育成に努める、③国旗・国歌及び祝日の意義啓発に努める、④日本国憲法の改正を通じて、我が国柄と次世代への継承を考える、⑤神道の精神に基づき、地域社会の再生・発展に努める、⑥適正な神社運営を図り、神社の奉護に努める──で、事業としては、神社本庁の設置する御代替対策本部への協力や神宮大麻頒布向上と参宮促進、鎮守の森の保護育成と神道の自然観の啓発、被災神社復興への協力などが挙げられた。
「皇位継承の意義啓発と御大礼の諸儀式に関する理解を広めて皇室敬慕の念の一層の涵養に努め、奉祝気運を醸成する」などの文言が盛られた大会宣言が朗読・承認され、次期大会開催地である石川県の神社庁代表からの挨拶があり閉会した。
(2018年10月10日付744号)