ロゴ

[2019年6月10日号 1面記事(2)]

初期禅宗史研究の国際シンポ/東洋大学

世界の初期禅研究家が参加

禅シンポ

  5月25・26の2日間、東京都文京区の東洋大学で国際禅研究プロジェクト(伊吹敦代表)・東洋大学東洋学研究所主催の「国際シンポジウム・初期禅宗史研究の最前線」が、日本はじめ中国、台湾、カナダ、アメリカの研究者が参加し開催された。
 ベルナール・フォール教授(コロンビア大学・米国)は「初期禅と『不二』-禅における反戒律主義の文化的影響力」と題して発表、「初期禅は中観派と瑜伽行派との単なる合成にすぎない。禅の魅力は、釈迦から現今の祖師に至るまでの途切れのない師資相承の命脈と、簡単で直接的かつ効果的な形態の瞑想の提供だ。実践者は古い掟の順守を免れるという反戒律主義も禅の魅力だ」と語った。
 中島志郎教授(花園大学)は「随自意三昧から一行三昧へ」の題で発表し、「南宋禅の起点である神会の坐禅定義『念不起是坐 見本性是禅』は語義としては恣意的で、初期禅宗は単なる坐禅ではない、禅定の痕跡が見え隠れする。『大乗心行論』には坐禅でない禅定の影響が見える。神会は坐禅定義を巡り南宗こそ真の坐禅だというが、『坐禅ではない禅定』があるのではとの疑問を持つようになった。『禅門経』には方便を立てる普寂の限界を批判する意図が見える。これは坐禅を宣揚した普寂を明白な対象とし、『禅門経』は坐禅ではない禅定を説く。『禅門経』はその後の禅宗(南宗系)でも継承された」と主張した。
 龔雋(ゴン・ジュン)教授(中山大学・中国)は「中国初期禅門における『維摩経』」を説明し、「従来、禅宗は『不立文字』『教外別伝』の流派と見なされ、禅師たちは経典を排除したように思われがちだが、様々な形で経典を扱い、解釈していた。『維摩経』は中古禅宗史の思想形成に重要な影響を与え、禅師たちは『維摩経』の観念を使用した。達摩の教えとされる『二入四行』は明らかに『維摩経』を引用して禅法を説く。中国の初期禅の時代には『維摩経』が流行し、その思想が禅宗に与えた影響は深く広い」と述べた。
 イタリアの女性研究者は「内容も高く、様々な国からの研究者の発表を聞け、よい交流もできた」と満足した様子だった。
 上記以外の発表者は次の通り。程正(チェン・ゼン)・駒澤大学教授「『惟心觀一卷』について」、黃靑萍(ファン・チンピン)・銘傳大學助理教授(台湾)「《頓悟真宗論》における禅思想の特質―禅宗と攝論思想の融合」、大竹晋(仏典翻訳家)「前定による業障消去をめぐって」、林佩瑩(リン・ペイイン)・輔仁大学助理教授(台湾)「《禅秘要法経》與《治禅病秘要法》中的禅病─論早期漢地禅修伝統的観想法門」、ウェンディ・アダメック・カルガリー大学准教授(カナダ)「Comparing Rhetorical Uses of Yogācāra and Pramana Terminology in the Ding shifei lun定是非論 and the Lidai fabao ji歴代法寶記」、伊吹敦・東洋大学教授「七世紀後半における中國北地の思想動向―『金剛三昧経』に見る初期禅宗と三階教の接合とその意味」。


contents menu
宗教新聞について
最新目次
社説
連載/コラム
講演会
編集長のブログ
通信員レポート
宗教新聞PDF版
パワースポット