神戸で第6回「世界平和 祈りの幕開け」

イスラエル大使、宗教者ら300人が参加

壇上に並ぶ各宗教の代表者、外交官ら=11月11日、神戸ポートピアホテル

 2022年度の「世界平和 祈りの幕開け」が、神戸市で開催された。イスラエル特命全権大使ギラッド・コーヘン氏をはじめルワンダ、ボツワナ、タンザニア、イタリアなどの大使や総領事、多くの宗教人や文化人ら約300人が参加した。このイベントはNPO神戸平和研究所(杣浩二理事長)が主催するもので、今年で6回目となる。
 開会にあたり、イスラエル国名誉領事で同研究所の三宗司郎所長は「私たちの研究所は、阪神・淡路大震災を契機に、民族・宗教・文化の差異ではなく共通点を見出すことにより世界平和を実現するため、神戸から声を上げようと2010年に出発した。小さな会が多くの方々に支えられ、このように発展したことに感謝する」と挨拶。
 続いて、仏教、神道、イスラム教、キリスト教、天理教、大本などの代表者が、それぞれの形式で祈りを捧げ、踊りや演奏などを奉納、ウクライナの戦火の中にある人々などを思い参加者全員で世界平和を願った。
 記念講演では、杣浩二理事長が英語版の『世界には二つのシオンとエルサレムがある』の出版を記念して、これまでの研究成果の一端を披露した。その中で、日本の神輿と旧約聖書に登場する契約の箱が酷似していること、神輿を担ぐ際の「エッサ」や相撲の「ハッケ・ヨイ」など、日本語では意味不明の言葉がヘブル語では、それぞれ「持ち上げる」「投げろ・やっつけろ」の意味になるなど、日本と古代イスラエルの共通点に気づいたところから研究をスタートさせたと語った。
 その後もエジプト、メソポタミア、イスラエル、中国、韓国、日本の遺跡や遺物に刻まれた図像に共通する事実を発見し、世界の文明のルーツが一つであることを確信、それらを『世界の文化は聖書から~我々は一つの家族』などの著書にまとめてきた。その結論的研究成果が今回の出版であり、聖書に記されているシオンとエルサレムが日本ではないかという内容だと説明した。
 エジプトやペルシャなどの古代文明は、すでに遺跡となっているが、日本は伊勢神宮などの神社儀式、文化や日常習慣の中に今なお古代からの宗教精神が生きている稀有な国だと強調、「聖書に予言されている『神の栄光を表す国』(イザヤ書)が日本であるならば、私たちが世界平和のための重要な役割を担っているのではないか」と締めくくった。
 これらの研究成果は、来年と再来年にイスラエルのヘブライ大学に招かれ発表することになっているという。
 杣理事長の講演後、伊弉諾神宮の本名孝至宮司の乾杯の音頭で会食が始まり、イタリア人ヴァイオリニストのマウロ・イウラート氏による演奏が会場を彩る中、宗教や国の違いを超えて多くの参加者が和やかに歓談した。
 「1」が4つ並ぶこの日、来年も11月11日の午前11時に第7回「世界平和 祈りの幕開け」が開催される予定だ。