地域の防災

2022年11月10日付 793号

 地域の防災部会で兵庫県淡路市にある北淡震災記念公園野島断層保存館を見学し、阪神・淡路大震災体験者の話を聞いた。当時、北淡町役場の職員だった男性は、激しい揺れで近所の木造家屋がほぼ全壊したが、だれがどの部屋で寝ているかまで知っていたので、すぐに救助することができたという。ところがその後過疎化、少子高齢化が進んで共同性が弱まり、個人情報保護の影響もあって、かつてのような関係は失われていると嘆いていた。それはどの地方でも同じだろう。 
 役場近くに住んでいた旧北淡町の町長は、倒壊したわが家を前におろおろしていると、「家にいても役に立たないから、早く役場に行って、災害本部を立ち上げなさい」と奥さんに叱られたという。いざという時に妻に叱られるのは、天地子も身につまされる。危機の状況でも気丈なのは女性である。天地子の地域にも、野島断層に続く長尾断層が走っているので、リアルに展示されている断層や被害の記録は他人事でない。
 次に訪れた神戸市の人と防災未来センターは、多くの中高生が見学に来ていた。ここでも体験者の話を聞いたが、旧北淡町のような人のつながりは希薄だったので、被災者の救援が遅れたという。共同性の再生は都会でこそ重要になる。
 ということで毎年11月6日は地域の防災訓練。各自治会では朝8時に自治会館前などに集合し、「まず低く、頭を守り、動かない」シェイクアウトを訓練し、代表数人が中央会場に集まる。防災の研修を受け、備品を確認し、炊き出しを味わって終わる。

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